翻訳なんでも相談室Ver. 1.27.2
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◇┳ドイツ語翻訳の現状について教えてください-投稿者:アミ(11/17-16:44)No.219
 ┗━Re:ドイツ語翻訳の現状について教えてください-投稿者:Okada, Nobuhiro(12/4-13:20)No.232


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ドイツ語翻訳の現状について教えてくださいアミ E-mail 21911/17-16:44

現在、ドイツ語を勉強している大学3年生です。一度、翻訳経験はある
のですが、特に翻訳の勉強などはしていませんでした。これから、本格
的に、翻訳の勉強を始めたいと考えているのですが(将来は翻訳の仕事
をしたい)、実際ドイツ語翻訳の現状はどのようなものか知りたいと思
います。ドイツ語翻訳の需要はどのくらいあるのか、どのように仕事を
しているのか、また翻訳家になるまでの経歴など、実際にドイツ語翻訳
に携わっている方にぜひ体験談のようなものを伺いたいです。

あと、お勧めの勉強方法、本、通信口座などがありましたら教えてくだ
さい。

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Re:ドイツ語翻訳の現状について教えてくださいOkada, Nobuhiro E-mail 23212/4-13:20
 記事番号219へのコメント

> アミさん始め、特殊語(業界では英語以外をこう言っています)専攻の同じような境遇の方にご参考になればと思い、私の経験と判断に基づいて助言を差し上げたいと思います。私は、外国語の和訳を主として、十年余りフリーランス生活の後、十数年前から翻訳会社で特許を中心とする実務文書のチェッカーを勤めています。また大冊の翻訳を頼まれて出版したこともあります。
 まず、仕事量の多い比較的安定した実務翻訳ですが、多いと言っても英語に比べると個別言語で数%にすぎないので、普通は、何でもこなせないといけません。何でも屋と言っても契約書から学術論文まで、専門家に近いバックグラウンド知識を持っていないと、何とか形になる翻訳はできません。現に、大学のイタリア語の先生に、コンピュータ関係の翻訳をお願いした所、文法上も散々の出来だったことがあります。実際に外国語専攻で翻訳を業としている方には、ご主人が技術者で教えてもらえる女性や、現場に出向して技術内容を技術者に教えてもらいながら翻訳をしてバックグラウンドを身につけた人、専攻とは別にコンピュータ会社に勤めて知識を得た人など知っています。私の場合は、理学部の大学院を出た上に文学部の大学院に入り、個人的にもいろんな分野に興味があったので改めて一からバックグラウンドを獲得する必要は少なかったのですが、それでも必要に応じて機械工学や簿記の教科書を読みました。このように特殊語で食べるのはなかなか大変で、教えているところや参考書もきわめて少なく、翻訳で食べて行くならむしろ英語から入った方が簡単と言えます。
 文学書などの出版翻訳も、英語の場合はいろんな道が出来てきましたが、特殊語の道はずっと狭いように思えます。普通コネが必要と考えがちですが、どの道でも信頼できる実力の持ち主は少ないので、実力さえあれば道は開けます。「持ち込み」、つまり自分の訳したい分野の本を出版している出版社に自分が訳したい本の訳(場合によっては一部分でも)を持ち込んで、売り込みをはかるのです。採算の問題はありますが、ベテランの編集者なら、多数の書籍を扱い、かつ大勢の著者と会っているので、持ち込んだ本の評価や訳の出来映えについて見る目があります。しかも実力を信頼できる相手は不足がちです。ただし、実力は机の上よりも実際の経験によって付くものです。機会があれば、下訳でもなんでもトライすべきです。
 専門書の翻訳は、大学の先生や評論家などの専門家に、編集者のコネを通じて依頼するのが殆どだと思われます。文学の古典についても似た事情でしょう。それでもテーマによっては、「持ち込み」が効くかも知れません。特殊語となると専門家で出きる人も限られてくるので、実績が出来れば、専門家の監修付きで仕事を依頼される可能性もあります。ただし、最近は一般向けの固い本は出版社でも採算上出し難くなっているようです。
 翻訳者一般に言えることですが、原文の理解力と、訳文の表現力に優れ、未知の分野のことを調べ理解する能力を身につけたなら、道は開けます。翻訳で食べている人にも、それが完全に近い人は少ないのが現状です。どの道もそうですが、すべて実力です。