僕も、翻訳フリーランサーになって一年後、32歳のとき、翻訳会社を
作りました。「会社」なんていうと実におこがましいけど、一応は法
律的に「有限会社」と言われているものを作りました。何人も人を雇
って、大きな人脈のネットワークを作って、いずれは僕がまるで関与
しなくても動くような会社に育て上げ、そのあとは、そこから得られ
る利益を投資して、僕は大学院に行って博士号を取りたいと思って
た。
その結果、数ヶ月で断念。あっけない。でもまったく後悔はしてませ
んよ。会社設立の経験をして、いろいろ考えたりトライしてみて、ほ
んとによかった。自分が何に向いているのか、自分は本当は何がやり
たいのか、何ができて、何ができないのか、よくわかった。一言で言
うと、「自分ってどんな人間か」がよくわかったような気がする。
だから、翻訳会社を作りたいと思ったら、大いにやってみたらよいと
思います。僕は一人だけで「ことば」を追っかけてるのが楽しくて、
それしかできない人間だと思い知ったから、僕は今の境遇に十分に満
足しています。満足できない人は、大いに触手と手足を伸ばして羽ば
たいたらいいと思います。ご健闘をお祈りします。
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