南都隆幸さん
私はフルタイムの翻訳家では有りませんが翻訳でお金をいただくことも多いのは事実で
す。
若い頃に翻訳家になりたいと思っていた訳ではありません。
仕事の関係で20代から海外赴任が多く、英語とフランス語はほとんど現場で修行しまし
た。
海外の経験を10年ほど積んだ頃から仕事上必要だったので、仕様書や契約書の翻訳をす
るようになり、そのなかで若い社員や外注した翻訳者が誤訳を連発することに気がつきま
したが、この頃は「知識や経験が足りないから誤訳するのだな」と考えていました。
その後、15年ほど前から本格的に、翻訳の世界と関係を持つようになりました。、
そして、プルーフリーディングのようなこと(有償だったり無償だったり)もやるように
なり、「これで金もらうの」という訳文にいやというほどお目にかかりました。
知識や経験を重ねることでは解消できない「根性の卑しさ」みたいなものを感じてしまっ
たのです。
こういう訳文に出会うと気持ちが暗くなります。
そんなときの気晴らしは、スカッとする映画(ハワード・ホークスなど)を観たり、ダン
スを鑑賞したり(パトリック・デュポンが好きでした)、音楽(アラブの歌謡曲など)を
聴いたりします。
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