満月さん、なんとさん
最初に満月さん、小生も今日では仕事の90%前後が海外の翻訳会社か
らです。
確かに、1〜2年以上前にトライアルに合格し、契約した海外の翻訳会社と
のドルやユーロでのレートでは、ここ1〜2年の円高ために大損しているの
は満月さんと同様です。その場合の打開策として、満月さんの仰せの通りに
円レートでの取引に切り替えるのが一つの手なのですが、敵(翻訳会社)の
立場に立ってみれば良く分かるように、まず円レートの要求をスンナリと受
け入れる会社はありません。
その場合、ドルやユーロのレートを大幅にアップする交渉を行い、レート
アップを渋る翻訳会社とのお付き合いはストップし、ドルやユーロの高レー
トの新規翻訳会社に切り替えると良いのではないでしょうか…。
次に、国内より海外の方がトライアルは難しいのでは、というなんとさんの
疑問ですが、それは国内外を問わず翻訳会社次第だと思います。数年前なら
いざ知らず、日本人の翻訳者が提出した訳文の出来不出来を、見極められる
だけの人材を海外の翻訳会社も確保しているのが普通です。だから、国内外
の差は無くなりつつあるというのが小生の実感です。
小生の場合、サラリーマンから足を洗って翻訳専業の道に入ったのが10年
前です。尤も、最初の数年間は仕事も大量に来なかったため、品質に心がけ
て大事に翻訳してきましたし、翻訳会社の社長から目をかけてもらい、徹底
的に翻訳技術を叩き込まれたのも幸いしました(その翻訳会社の社長は、一
流の翻訳者という一面も併せ持っていました)。また、昨年の9月に廃刊に
なった日本語版のフォーブス誌の仕事(記事翻訳)を8年間にわたって担当
していたのも、翻訳技術を磨くのに役立ったようです。
昨秋に開催された日本翻訳連盟の翻訳祭りで、上記の社長から招待状を郵送
してもらい、社長や社内スタッフの方々と一緒に幾つかの講演会を聞いてみ
ました。中でも一番印象に残ったのが、時國滋夫氏の次の言葉です。
「翻訳の品質は、初心者の方が改善できる。翻訳を始めてから5 年間は力が
付く時期なので、この間は我慢して質より量にならないようにしたい」
http://www.jtf.jp/jp/journal/pdf/2010/Journal1001.pdf
確かに、今日の小生の翻訳技術の土台は、翻訳専業の道に入ってから数年間
の“暇”な時期に築き上げたものであり、その意味で「翻訳を始めてから5 年
間は力が付く時期」という、時國氏の意見に同意します。現在の小生は、当
時の「稽古」の貯金を食いつぶさないように、個人ブログに記事を書いて日
本語力が錆びないようにしたり、専門分野以外の英文(経済、歴史、政治、
その他)に積極的に目を通して読解力を磨いたりしています。
ともあれ、何事もスタートが肝心のようです。
サムライ拝