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-初めての産業翻訳・・・意味のわからないものを訳す苦しみ- 若葉(4/11-00:33)No.828
 ┣Re:初めての産業翻訳・・・意味のわからないものを訳す苦しみ- カツラ(4/11-02:03)No.829
 ┣Re:初めての産業翻訳・・・意味のわからないものを訳す苦しみ- からん(4/11-08:53)No.830
 ┣Re:初めての産業翻訳・・・意味のわからないものを訳す苦しみ- Buckeye(4/11-10:39)No.831
 ┣Re:初めての産業翻訳・・・意味のわからないものを訳す苦しみ- LimaLima(4/11-22:25)No.832
 ┣感謝です!!- 若葉(4/12-00:36)No.833
 ┗物理学は、文芸につながる (その1)- 南都隆幸(4/12-01:17)No.834
  ┗物理学は、文芸につながる (その2)- 南都隆幸(4/12-01:18)No.835
   ┣Re: ありがとうございます!- 若葉(4/12-23:04)No.836
   ┃┗ぜひ独立ni- 南都隆幸(4/13-01:19)No.837
   ┃ ┗四面楚歌の新米翻訳者- 南都隆幸(4/13-22:44)No.838
   ┃  ┗Re:四面楚歌の新米翻訳者- マスター(4/15-23:32)No.839
   ┃   ┗優しい言葉に感謝- 南都隆幸(4/15-23:56)No.840
   ┣同じことを言われている気がしますが- Buckeye(4/27-15:23)No.877
   ┃┗同感。感謝- 南都隆幸(4/27-16:50)No.878
   ┃ ┗Re:同感。感謝- Buckeye(4/27-18:43)No.879
   ┃  ┗うれしいです- 南都隆幸(4/27-19:54)No.880
   ┗「内容が解らなくても翻訳はできる」- stzz(4/28-09:18)No.881


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初めての産業翻訳・・・意味のわからないものを訳す苦しみ若葉 8284/11-00:33

産業翻訳若葉マークの若葉です。

出版、芸能系の翻訳を副業で10年ほどやってきました。
今年になって友人の会社に、社内翻訳者として採用され、
産業翻訳界にデビュー(?)しました。
会社は翻訳に対して無知で、出版ができるなら産業もできる
と思い込んでいます。そんな採用側の幸運な誤解のおかげで、
トライアルもなしにすんなり採用されました。
わたし自身も本業(昼の仕事)で15年以上、ソフトウェアや
ハードウェアの開発関係の仕事に従事していたこともあり、
少し慣れればできるんじゃないかと甘い気持ちでいました。

しかし、実際に業務に就いてみて、どれほど自分が甘い考えを
していたかがわかり、精神的につらい毎日を送っています。

翻訳の内容は、熱力学、流体力学などの物理理論に基づく、
構造解析、流体解析、騒音解析に関する研究論文や事例論文、
それに上記に関する解析ソフトウェアのマニュアル和訳などです。
研究発表用のプレゼン英訳も2割ほどあります。

物理理論というのは、今までまったく縁のなかった分野ですので、
わたしにとっての難易度はエベレスト級です。
正直、英文の意味はもとより、資料として渡される日本語で
書かれた文献であっても、それが日本語の文字列であるという
くらいしか理解できず、何が語られているかなど皆目見当が
つきません。また、社内にはTRADOSはおろか、用語集もほとんど
ない状態ですので、何もかもが手探りです。

このような状況で、今は字面を追いかけて日本語文字列に変換する
のが精一杯です。できあがるものといえば、翻訳ソフトよりは
少しだけまとも、という程度の訳文未満の不完全な文章です。

また、扱っている研究論文では、
XX is XX that is XX of XX of XX of XX of XX in XX of XX that...
などの形式の文章が多くて泣けてきます。
(論文とは通常こういうものですか?)
そもそもの意味が理解できないために、こういった文章を
日本語らしく整理することもできません。
基本的に直訳になりがちで、いわゆる悪文のオンパレードと
なってしまいます。

こんな訳を毎日出し続けているので、自分の仕事に自信なんて
かけらもなくなりました。また、仕事に誇りを持つことが
まったくできません。不完全な訳をアウトプットする自分を
許せませんし、とても精神的に苦しいです。
3ヶ月経過した今も、期待したほど自分がこの仕事に慣れず、
状況があまり変わらないため、産業翻訳をすっぱり辞めて、
ちがう分野での仕事を考えたほうがいいかも知れないと
悩んでいます。
初めは、翻訳だけで生活できるなんてすごい、と有頂天に
なっていたのですが・・・。

みなさんは、まったく門外漢の分野の翻訳をされるとき、
どのように対処なさっているのでしょうか?
ご自分で訳された文章の意味が、読み返してもちっとも
わからないことなんてあるのでしょうか。


・・・どうも長々とすみませんでした。
産業翻訳と文芸系の翻訳の勝手があまりにもちがうため、
混乱の日々を送っている勉強不足の中年の戯言だと
聞き流してやってください。
こちらの産業翻訳で活躍なさっていらっしゃるみなさまの
ことを、心より尊敬しています。

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Re:初めての産業翻訳・・・意味のわからないものを訳す苦しみカツラ E-mail 8294/11-02:03
 記事番号828へのコメント

若葉さん、はじめまして、

 相当ご苦労されている様子が伝わってきます。

 本文を拝見しているうちに、山岡洋一さんというトップレベルの翻訳者が
書いた「翻訳とは何か」という本の中に、翻訳者は対象物を選択できない
(どんな案件が来るか分からない)という一節があったことを思い出しまし
た。

 自分の知らない分野で内容を理解できない文章の翻訳は並大抵のストレス
ではありません。若葉さんの苦しみはよく分かります。1文、1節、1ペー
ジのなんと長いこと。

 私の場合、畑違いの仕事がきた場合は書籍を買ったりインターネットで調
べたりと、なるべく表面だけでも意味を理解するよう努めますが、どうして
も理解が及ばない場合はクライアント(とその読者)には申し訳ないと思い
つつ、適当に処理して納めることもなくはありません。

 ただ若葉さんの環境が、私のような在宅翻訳と大きく違うのは、質問でき
る人が周りにいるという点だと思います。在宅の場合は教えてもらえる人が
いません。googleで適訳・定訳らしき言葉を見つけても、それが正しいのか
どうか、検証する術がありません。

 またインハウスの場合は扱う分野が限定されています。フリーで仕事を請
ける場合は、山岡さんの一文ではありませんが、対象をコントロールできま
せん。

 ですから、インハウスで勤務されているメリットをもっと活用されてはい
かがでしょうか。たとえば社内のかたにお願いして、集中的・継続的に物理
や力学について講義をしてもらうというのはどうなのでしょうか。
 基本的に技術屋は、人に教えることは嫌いではありませんから(教える技
術は別にしても)。1を訊けば10くらい話が返ってくるはずです。

 少しでも意味が分かってくれば、仕事に対する意欲も前向きに変わってく
るのではないでしょうか。

 それになんと言っても社員の地位であれば定収入が得られます。

 すでにいろいろと勉強を進められているとは思うのですが、最後の手段と
して産業翻訳者の道を諦めるのは、それからでもいいのではないのかなと、
無責任ながらも感じた次第です。失礼があればお許しください。

カツラ

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Re:初めての産業翻訳・・・意味のわからないものを訳す苦しみからん 8304/11-08:53
 記事番号828へのコメント

若葉さん、こんにちは。

苦しいお気持ち、よくわかります。

カツラさんのおっしゃった、周りの人から学びながらしばらく続けてみ
るというのもよい考えだと思いますが、

>わたし自身も本業(昼の仕事)で15年以上、ソフトウェアや
>ハードウェアの開発関係の仕事に従事していたこともあり、

という部分を読んで、若葉さんの得意な分野でも翻訳の需要はかなりあ
ると思われるため、もったいないなあと思いました。

私もそうなのですが、年齢的なことを考えても(悪い意味ではありませ
ん。お気にさわりましたらお許しください)、今まで積み上げてきたも
のや、興味のもてるものを仕事とする方向に持っていった方が、 いい
成果物が出せる = 長い目でみると、現在の「正社員」の地位にこだわ
るよりも経済的にプラスとなるのではないか?と思いますし、なにしろ
今のお仕事を続けておられると、精神的にもよさそうにありません。

私も以前は、新しい分野に常に挑戦することを面白いと感じていました
が、最近は(言葉は悪いのですが)全く専門外のものに取り組むのはこ
れから先自分が翻訳者として活動できる期間を考えた場合時間の無駄で
あるとともに、クライアントに対してもできないものはできないと言う
のがプロの姿ではないか、という気がしてきました。そのかわり、自分
が専門とする分野では、常に新しい知識をとりいれるよう努力しています。

いずれにせよ、副業としての翻訳とソフトウェア・ハードウェア開発の
ご経験を最大限に生かす道は他にあるような気がしますし、またその知
識を求めているクライアントも存在すると思います。可能であれば、今
の会社にしばらく勤務しながら(収入を確保しながら)他の方面の可能
性を探ってみられてはいかがでしょうか。

えらそうに言いましたが、私も「翻訳」という仕事自体に嫌気がさし、
もっと他の人生があったのではないか、と思うことはしょっちゅうです
が、それでもやっぱり捨てられない選択だな、と気をとりなおして毎朝
作業を開始しています。

からん

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Re:初めての産業翻訳・・・意味のわからないものを訳す苦しみBuckeye E-mail URL8314/11-10:39
 記事番号828へのコメント

☆ 若葉 さん

珍しくこちらのサイトを読みに来ました。

うーん、大変ですね。勉強不足という言い方もできないことはありません
が、ちょっとそれは当たらないような……そのお話を若葉さんにやらせる会
社のほうが無理なんだというのが、私の正直な感想です。

何ごとも勉強すればわかるようになるはずとも言えますが、今、持っている
知識体系などに照らして可能・不可能というレベルに入ってくるものもあり
ますし、仕事として考えるなら、そこまでの労力をかける価値があるかどう
かということもあります。

内容が理解できないと翻訳はできません。でも、数値流体力学を勉強するた
めには、熱力学や流体力学がわかっている必要があります。熱力学や流体力
学を勉強するためには、最低でも大学工学部レベルの数学・物理・化学の知
識が必要です。大学工学部レベルの数学・物理・化学を勉強するためには、
高校理系の数学・物理・化学の知識が必要です。お話しから推測すると、若
葉さんは文系でこられた可能性が高いと思うので、高校文系レベルの数学・
物理・化学を勉強し直すところから順番に勉強していかないと取り扱ってい
る文書の内容を理解できるようになりません。一通り勉強するだけで、年単
位の時間がかかりますよ。

これを勉強しなさいというのは、何年も走ったことがない人に、トレーニン
グすればフルマラソンが走れるよと言うようなものじゃないかと思います。
何年間かトレーニングすればフルマラソンが走れる人がいるかもしれないけ
ど、トレーニングしたら全員が走れるようになるものでもない。そこまでし
たいかなぁと思ってしまうんです。私だったら、そこまでしたくないですか
ら。

私自身、何年か前、同じような仕事をしたことがあります。私の場合は、大
学(日本)も大学院(アメリカ)も、熱力学や流体力学が必要な学科でした
し、会社の研究所でもその続きをしていました。隣の研究グループは、そう
いう解析ソフトを使っての研究をしていました。そういう経歴的にとても恵
まれた状況で仕事に入ったのですが、それでも、書棚1段分くらいの専門書
を買い込んで必死で勉強し、半年くらいかけてようやく、内容を一応、理解
し、原文の間違いを指摘して(内容が理解できるということは、間違いがあ
ればおかしいと気づくことができる)クライアントの技術者と間違いかどう
かを検討できるところまで到達しました。

社内翻訳者で周りの人たちに聞けるとしても、せめて、大学で習う程度まで
流体力学がわかっていないと、説明してもらっても理解できないと思いま
す。

そこまで労力・時間をかけて数値流体力学を勉強するのと、その会社の社内
翻訳者をやめて別分野に転身するのと、どっちがいいかは、最終的に、若葉
さんが決められることになります。

私だったら、たとえば、今から芸能系を勉強してそちらの分野の翻訳をする
より、今までの素養が生かせる新しい分野の勉強をするほうを選んでしまい
ますが。

Best regards,
Buckeye

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Re:初めての産業翻訳・・・意味のわからないものを訳す苦しみLimaLima E-mail 8324/11-22:25
 記事番号828へのコメント

若葉さん はじめまして

若葉さんの御質問に対してうまくアドバイスできないのが残念ですが、
自戒を込めて、感じていることを書かせていただきます。あくまでも
私はこう感じているということでしかありません。翻訳業界の一般的な
認識とはいえないことを予めおことわりしておきます。また、技術系の
英日翻訳を中心とした話になります。

(産業翻訳の報酬は誰から頂くのか)
産業翻訳の翻訳者が得る報酬は誰から頂くのかということを考えたこと
があります。フリーランサーの場合は翻訳会社あるいはクライエント、
社内翻訳者の場合は勤め先の会社から頂くようにみえます。表面的には
そのとおりですが、その費用は最終的には製品なりサービスなりのユー
ザーが負担することになると考えます。
原文のままではユーザーが不便であるため、翻訳という作業を行い、
ユーザーが本来の仕事に専念できるようにし、翻訳者が報酬を頂くこと
になると考えます。

(ユーザーは英語が読めないのか)
私の乏しい経験では、産業翻訳の訳文を実際に利用する人は、自分の
仕事に関する文書ならば、多少苦労はするものの、英語を読むことが
できると感じています。
このようなユーザーから翻訳という作業の報酬を頂くためには、少なく
ともユーザーと同程度以上に原文を理解することが必要でしょう。

(原文をどの程度理解する必要があるか)
Buckeyeさんが書かれている、「原文の間違いを指摘」できる程度まで
理解することが理想的でしょう。私もメインの分野でしたら可能です。
そこに至らない場合であっても、原文が実際の業務で利用されている
以上、専門とはちょっと離れた英語圏の実務者が読んで理解する程度
には理解したいと考えています。

(訳文だけ読んで理解できるか)
私が一番気をつけている点が、訳文だけを読んで理解できるように表現
できているかということです。翻訳者は原文を全部読んでいますが、
ユーザーは訳文を全部は読んでいません。マニュアルなどでは、前後を
飛ばしてその部分のみを読むという使い方もあります。そういう利用を
されても理解できる表現になっているかどうか、自分に言い聞かせて
注意しています。

(長い難解な原文はどうするか)
原文の内容を理解した上で、その内容を日本人技術者だったら表現するで
あろう日本語で書くことを原則としています。関係代名詞でつながった
長い文は、原文の著者の思考の流れからすると頭から処理していったほうが
無難な場合が多いのですが、場合によります。長い文は分断して訳した
ほうがわかりやすくなると感じています。悪文は悪文で表現という考えも
存在しますが、悪文を普通の文にすることのほうが喜ばれると思います。

(専門外の仕事はどうするか)
メインの分野からちょっと離れた分野で、なんとか調べられそうな場合には
図書館での調査、ネットでの調査などで調べた上で納品します。
まったく別の分野については丁寧にお断りしています。
なお、一人で調べてもわからないときに備えて、他の人の知恵をうまく
借りる方法も準備しています。

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感謝です!!若葉 8334/12-00:36
 記事番号828へのコメント

若葉です。
みなさんの暖かいお言葉に、たいへん感謝しております。
ありがとうございます。

何より嬉しいのは、翻訳者としてのジレンマをわかっていただけた
ことです。社内には翻訳者は他に誰もいないため、気持ちを共有
できる人もおりませんし、会社側も翻訳や翻訳者がどういうもの
なのか、まったく理解しておりません。

Buckeye さんがお察しのとおり、私は文系でしかも高卒です。
物理の知識は皆無、数学は二次方程式を解くのが精一杯のレベルで
す。
昼はいわゆる理系の仕事をしてきましたが、現場でモノは作るけど
理論はわかっちゃいねーという体当たりタイプでした。
熱力学、流体力学については、物理学の入門書を読んだり、社内で
行われる研修に参加したりと、出来る範囲内での努力は続けていま
す。
・・・が、バカの壁は天を貫くほどに高く、内容を理解できたためしは
ありません。

この3ヶ月、頭が悪いから理解できない、そう思ってきました。
世界から消えてしまいたくなるような絶望的な気分になることも、
何度もありました。
でも、みなさんのご意見を伺って、限界を見極める大切さを再認識
しました。今後10年単位はかかるであろう勉強に時間を注ぐのは、
40代の自分にはあまりプラスになりそうもありません。

また、会社側が私のようなスーパード素人を採用した理由も、単に
人件費を安くできるから、ということが今さらながらわかってきまし
た。
(今さらわかるところが、頭の悪さを物語っていて情けないです)
一方で、定収入があるという面で言えば、やはり会社員はありがたい
です。
訳文未満のひどい文章を提出しても、会社側が「まあ、こんなもんで
しょ」
とOKを出して私をクビにしないのは、ありがたいことでもありま
す。
カツラさんのおっしゃるように、インハウスであれば直に技術者に
質問することも可能です。(現実には、社内の技術者は多忙なので、
翻訳者の相手をする時間はほとんど取れないのが実状ですが・・・)
当然ながらそのまま使えない訳は、技術者がチェックしてバックしま

ので、これはとても勉強になります。これはインハウスの強みです。
とは言え、この分野で翻訳を続けて行くのは人生の無駄遣いであるこ
とが
身にしみてわかりました。
失業時代の損失補てんなどがあり、今すぐ会社を辞めるわけには
いきませんが、少し蓄えができたら、別の分野の翻訳で能力を発揮で
きる
場所を探してみようと思います。


本来ならば、おひとりおひとりにレスをしてお礼を述べたいところ
ですが、非常に長くなってしまいそうですので、略式ながら、
まとめて御礼申し上げます。

ありがとうございました!!

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物理学は、文芸につながる (その1)南都隆幸 E-mail 8344/12-01:17
 記事番号828へのコメント

若葉さんの今回のコメントの書き方や、タイトルの付け方、それか
ら、「お知恵拝借」のコーナーでのコメントの内容などを考え合わせ
てみて思うのですが、文芸翻訳者だけあって、相当に言語感覚の優れ
た方だとお見受けします。そういう方が産業翻訳に参入することに
は、本人にとっても、他の産業翻訳者や、エンジニアなどの産業関係
者にとっても、とても意味のあることだと確信します。

数人の方が、いろいろなことを仰いました。すべて、それぞれの方の
立場や個性を反映した、妥当なご意見だと思います。若葉さんは、い
ろんな意見を聞きながら、最終的には、自分の考えでお進みになれば
よろしいですし、結局のところ、自分の個性や衝動などに従うしか方
法はないのでしょう。

ソフトウェアやハードウェアの世界で15年以上という輝かしい職歴を
お持ちなら、そういう分野を十分に生かせる別の職場がある、という
別の方のご意見に、私も賛成です。しかし、同時に、今回のお仕事を
わざわざやめる必要もなかろう、とも思います。

私は、理科系や法律や経済などの実務分野の専門は持っていません。
英文科のようなところを卒業した、ただの英語屋さんです。社内翻訳4
年、そのあとフリーとして17年も翻訳してきましたが、いまだに、自
分の訳している文献の内容がほとんど理解できません。

ではなぜ、このような私に仕事が舞い込み続けるのか?私のような、
専門書や科学論文がまるっきり理解できない私のところなんかではな
く、その方面の理科や法律などを大学院できちんと勉強した人で、し
かも語学に堪能な人がたくさんおられるはずなのに、なぜ私に仕事が
来るのか?翻訳の仕事を回す発注者が考慮するポイントは、次の通り
だと思います。

(1) 文献の内容がよく理解できる翻訳者であるかどうか?つまり、た
とえば流体力学をどのていど理解できる人なのか?
(2) 外国語と日本語の理解力は、どの程度であるか?
(3) 翻訳料金はどの程度か?品質に見合うだけの料金かどうか?
(4) その専門分野の新しい動向や、翻訳に当たって使用すべきコンピ
ュータやソフトウェアの最新版や、外国語や日本語の新しい動向にど
んどん適合できるだけの柔軟性を持った人かどうか?
(5) 短い納期にも耐えられるか?
(6) 発注者による無理な要求にも対応できるか?たとえば、納期を途
中で短くしてくれ、という要求に耐えられるか?膨大な参考資料を読
め、という要求にも耐えられるか?再三にわたる理不尽な問い合わせ
やクレームにも、にこやかに対応できるか?

以上のような資質や能力が問われるのだと思います。そして、それぞ
れが100点満点ならベストですが、人それぞれ個性があり、完璧な人な
どいません。ですから、一般的には、これら6つの資質や能力にそれぞ
れ点数をつけていって、その総合得点の高い順番に、翻訳者がランク
付けされていって、発注者は、そのランクの高い翻訳者から順番に、
仕事を回していくんじゃないかと思います。

もちろん、このように厳密に資質などをリストアップして、きちんと
採点し、その総合得点などを翻訳者に付けている業者なんていないで
しょうけど、頭の中では、誰でもぼんやりと、こういうふうな採点を
しているのでしょう。そして、実際に発注者の手元にある、翻訳すべ
き文献にしても、いろいろな種類があるのだと思います。つまり、

(1) 高度に専門的で、しかも不特定多数の関係者の目に触れ、(そし
ておそらくは永続的に活用される資料となるような)文献
(2) 専門的だけども、一部の研究者が何とか理解できればいい、とい
う程度の文献
(3) ふだんは恐らくは誰も読まないだろうけど、一応は訳しておい
て、何かのときに引き出すかもしれないような文献
(4) おそらくは未来永劫にわたって、誰も読まないだろうと思われる
独りよがり的に書かれた文献

(その2に続く)

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物理学は、文芸につながる (その2)南都隆幸 E-mail 8354/12-01:18
 記事番号834へのコメント

(その1からの続き)
そのように、種種雑多な文献があると思います。(1) のような、本当
の意味で高度な内容で、しかもたくさんの人の目に、公式に触れると
思われる文献は、Buckeye さんのような、きちんとした翻訳者に任せ
なければなりません。しかし、(3) とか (4) のような、かなりいい加
減な文献もたくさんあるはずです。私のようなところに、そういう文
献が来ているのではないかと思います。

かなり自嘲と自戒を込めて書いております。私が自分の恥を晒してま
でこのようなことを書くのはなぜか?それは、このようなサイトで
は、理科系や法学や経済学など、本格的な「専門分野」を持ち、しか
もアメリカの大学院などで勉強してこられて、専門分野と語学力との
両方で勝負しておられる方が、「内容が理解できないのだったら、翻
訳はできない」と仰ると、「じゃあ、私などが翻訳に参入すること自
体が許されないわけなんだわ」と思い込み、縮み上がってしまう方が
たくさんおられるだろうと思ったからです。

そういう方に対しては、「私を見なさい」と言いたくなります。私の
ように、大学院にも行っておらず、有名大学を出ているわけでもなく
(私は神戸市外国語大学の英米学科を、25年前に卒業しました)、英
語圏の土を踏んだこともなく、理科や法学や経済学などを専攻したわ
けでもない人間が、曲がりなりにも17年も翻訳だけでフリーとして年
間700万から900万の収入を稼ぎ続けてきたのです。だから、そこまで
恐れることはないよ、という、乱暴な意見を述べさせて頂きます。

もちろん、産業翻訳の世界を侮っているわけでも何でもありません。
私がいかに死に物狂いで私なりのやり方で勉強し、どれくらい命がけ
で産業翻訳に取り組んできたかについては、その一部をすでに、「相
談室」で述べました。

それともう一つ、あまりに安易に翻訳の世界に首を突っ込もうとする
人たちが多いことにも、私は危惧を感じています。洋書を10冊さえ読
んだこともないのに、「翻訳したい」と言っている人がたくさんおら
れるそうで、本当に不気味です。ある意味で、私は山岡洋一さんの厳
しい意見にも賛成しています。

ただ同時に、そのような厳しい意見が、若葉さんのような、きちんと
した言語センスと職歴を持った方が萎縮してしまうのは、実にもった
いないことだと思います。

若葉さん、できれば、(和訳の場合、400字詰めの原稿用紙で)最初の
5,000枚を訳し終わるまでは、今の職場に居残ってほしいと思います。
何も、訳し終えた枚数をきちんと数えなさいと言ってるのではありま
せん。だいたい大ざっぱに考えて、一日あたりに仮にゆっくりと5枚く
らい訳すとしましょう。一年300日働くとします。すると、一年で
1,500枚。そうすると、5,000枚は、3年で到達します。だいたい、
5,000枚も訳したころには、ある程度、何かがわかってきます。そし
て、あれほどまで忌み嫌っていた理科系(特に物理学)の分野が、何
となく身近に感じられてきます。

私自身がそうでした。もともと言語・文学・哲学・心理学・宗教・芸術な
どが好きで、特に文学のためなら死んでも悔いはないとさえ思ってい
た僕が、25歳のころに建設会社に入って、建築・土木・電気・配管等の
設備、貿易実務、法律などの分野の翻訳をすべて社内翻訳し始めたと
きは、「これでも日本語か?これでも英語か?」と思いました。日本
語が外国語に見えるし、英語が古典ギリシャ語に見えます。

それでいいんです。最初の3年は我慢してください。3年経ったら、そ
の分野が好きになります。そして、何よりも、物理学などの理科系の
知識や法律や経済の知識、それからそういう分野で使われている日本
語や英語の知識が、必ず回りまわって、直接的および間接的に、若葉
さんが得意な文芸翻訳の世界にも役立つのです。

それまでは、文芸関係の洋書を読んでいて、その中に理科・法律・経済
などの分野の用語が出てきても、無意識のうちにそれを排除しながら
読んでいたのです。でも、理科などの日本語や英語をたくさん覚えた
り勉強したあとには、文芸書の中で出てくる、そういう専門用語がよ
く理解できるようになります。そのことにより、以前よりも深く深く
文芸が理解できるようになると固く私は信じています。どうも、長々
とすみませんでした。
(おわりです)

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Re: ありがとうございます!若葉 8364/12-23:04
 記事番号835へのコメント

南都さん、こんにちは。
建設的なご意見とご助言をありがとうございます。
また、励ましのお言葉、とても感謝しております。
ここのところ自分が、品質最低翻訳で稼ぐ詐欺野郎に思えて
仕方なかったので、励ましのお言葉が身にしみます。

生活のためだけでなく、今の会社にしばらく在籍し(クビになら
なければ)、産業翻訳のノウハウを少しでも吸収しようと思います。
この不景気にせっかく就けた仕事ですので、さすがにすぐに
辞めてしまうのはもったいないですし。
それに、会社を紹介してくれた友人の顔をつぶすような
ことはしたくありません。義理人情はヘビーです。

わたしのそもそもの目標は、在宅翻訳者として生計を
立てることなので、今回の仕事はその基盤づくりのつもりでした。
ところが、基盤に選んだ土がちょっと固すぎちゃったようです。
(入社する前に気づけばよかったのですが・・・マヌケ)
でも、もう少し頑張れば、何かが見えてきそうな気もします。
そしてそののち、自分の道を今一度考えてみようと思います。

それにしても、南都さんには借りがたくさんできてしまいました。
いつかわたしのようなへなちょこにもお役に立つことがあれば、と
願っています。


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ぜひ独立ni南都隆幸 E-mail 8374/13-01:19
 記事番号836へのコメント

そうですか。若葉さんの目標は、在宅翻訳者として食べていくという
ことなんですね。じゃあ、迷うことはない。今の会社に居座ってくだ
さい。もし(そんなことはないでしょうが)首になったら、別の会社
で社内翻訳をしてみて下さい。

若葉さんは、私に借りがあるのですか?それなら、ぜひぜひその鋭敏
な感性と、文芸翻訳で獲得した言語感覚と、ソフトウェア・ハードウェ
アの会社での15年の経歴とを生かして、いずれ私にアドバイスを下さ
い。私は、その三つの分野に、すべて弱いですし、特に文芸翻訳に長
年にわたって果敢に取り組んでこられたあなたを深く尊敬していま
す。

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四面楚歌の新米翻訳者南都隆幸 E-mail 8384/13-22:44
 記事番号837へのコメント

若葉さんや、その他のたくさんの人たちが、産業翻訳に参入しようとし
ているけれども、工学や法律や経済などの分野のあまりの難しさと、そ
の専門用語の天文学的な難解さとに怖気づいてしまっているのを見て、
何とか自信をつけてもらいたいと思って、もう一度、書かせてもらうこ
とにしました。私はあまりにコメントが多いので、私のことを煙たがる
人も多いと思います。ですから、いずれは私はここに立ち入りにくくな
るだろうと思います。ですから、今のうちにもう一言だけ言わせてくだ
さい。

若葉さん、あなたは工学などの分野の日本語や英語に触れるのは初めて
なので、とまどって当然です。あらゆる人が、よかれと思ってアドバイ
スをくれます。でも、気をつけてください。敵が一杯です。というより
も、すべてが敵かもしれません。人間の恐ろしいところは、ある分野で
の新米を見ると、親切に何でも教えてあげようという気持ちと、同時
に、こうしなさい、ああしなさい、とアドバイスしながらも、自分を自
分以上に見せたり、「俺はここまでやってきたんだ。真似が出来ねえだ
ろ?おめえみたいなヘナチョコに真似が出来てたまるか」という変な心
理も働いてしまいます。口や態度に表さなくても、そういう醜い心理が
見え隠れします。

僕自身が、先輩たちのそういう悪意の餌食になってきました。具体的に
言えば、産業翻訳では「内容がわからないと、翻訳はできない」とい
う、一見したところ正論のように見える論議を前面に押し出すことによ
り、自分たち以外のものを排除しようという心理が、知らず知らずのう
ちに働いてしまうのです。僕自身もそうでした。自分に自信がなかった
し、いろんな意味で心理的に抑圧されていたため、自分以外のものを排
除しようという心理がどうしても昔は働いていました。

こんなことを言ったからといって、僕は決して、このサイトで書き込み
をしている先輩方にイヤミを言っているわけではありません。ただの一
般論です。人間には、どうしてもそういう心理が知らず知らずのうちに
働いてしまう、ということが言いたいだけです。僕自身の心の中にも、
そういうふうな、自分とは異質のものを排除しようという心理が働いて
しまう、ということが言いたいのです。

具体的に言いましょう。どの世界でもそうですが、産業翻訳の世界で
も、いろんな人がいていいはずです。何も、これこれこういう人でない
と産業翻訳ができない、ということは言えないはずなんです。「何でも
あり」なんです。その証拠に、このサイトで一般的に「産業翻訳者の素
質は、かくあるべし」、「こういう人でないと、産業翻訳はできない」
と言われていることの内容からは、私などは大きく外れているはずなの
に、曲がりなりにも私は産業翻訳の世界で食べてきました。はっきり言
って、営業などしたこともありません。仕事が勝手に舞い込んできま
す。

何も自慢するためにこんなことを言ってるんじゃありません。「大学院
にも行ってないし、英語が好きなだけで、別に工学とか経済に詳しいわ
けじゃない私が、産業翻訳なんかできるのかしら」と思っているたくさ
んの人が、このサイトに来て、「お前には無理だ」とピシャッと言われ
てしまったような感じがして、やる気を失っておられる人がいるかもし
れないので、あえて具体的に私自身のことを話しているだけです。

いろんな経歴や、いろんな性格の産業翻訳者がいていいはずなんです。
とは言いながらも、僕自身も、「産業翻訳者は、かくあるべし」なんて
ことを言ってしまいそうになります。それは、結局のところ、自分の主
観に囚われ、井の中の蛙になっており、そして何よりも、自分に自信が
ないので、異質な他者を排除することにより、自分の存在を確かめよう
という卑怯な心理の表れなんです。だから、他の人から、「そんなふう
だから、ダメなんだよ」と言われても、適当に聞き流した方がいいと思
います。そういうのは、善意という名の下での悪意なんですからね。

どうも、言いたいことがうまく表現できません。何とかして、若葉さん
を初めとして、他の「専門分野を持たない人々」を力づけようと思った
んですけどね。

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Re:四面楚歌の新米翻訳者マスター URL8394/15-23:32
 記事番号838へのコメント

南都隆幸さんは No.838「四面楚歌の新米翻訳者」で書きました。
もう一度、書かせてもらうこ
>とにしました。私はあまりにコメントが多いので、私のことを煙たがる
>人も多いと思います。

あれ? 誰もそんなこと言ってませんよ。

どうか心配なさらず、これからも
たくさん投稿してください。

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優しい言葉に感謝南都隆幸 E-mail 8404/15-23:56
 記事番号839へのコメント

マスターからの直々のお言葉に、深く感謝します。本当にありがとうござい
ます。

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同じことを言われている気がしますがBuckeye E-mail URL8774/27-15:23
 記事番号835へのコメント

☆ 南都隆幸 さん

南都さんは、専門分野を持たなくても翻訳はできるよということでご自分のお話
をされているとのことなんですが……でも、よく読むと、「勉強して専門を持ち
なさい」と言われている人たち(私もそうですが)と同じことを言われているの
ではないでしょうか。業界の仕事にはいろいろとあるのは事実で、専門知識が不
足した状態ではまったく仕事ができないわけじゃありません。また、いろいろな
訳者がいて当たり前というお話もまったくそのとおりだと私も思います。でも、
南都さんも、専門知識がないままでいい(各分野の勉強などする必要はない)と
言われているわけではなく、勉強すべきだと言われているわけですよね? 私に
はそう読めるんですが。

私がよくいうことの一つに、「専門を持って生まれてくる人はいない。専門は勉
強して自分で作るもの」ということがあります。そういう意味において、南都さ
んの

>>もちろん、産業翻訳の世界を侮っているわけでも何でもありません。
>>私がいかに死に物狂いで私なりのやり方で勉強し、どれくらい命がけ
>>で産業翻訳に取り組んできたかについては、その一部をすでに、「相
>>談室」で述べました。

というお話は、まさしく、翻訳者としての専門を作る作業を地道にされてきたと
いうことに他なりません。

専門にせよ言葉にせよ、大学や企業で勉強したり仕事としてやったり、また、現
地に住んで修得したりということが必要なわけではありません。最終的に目指す
ものは同じはずで、ただ、大学や企業で勉強した人は、その時点で勉強したか
ら、専門という面では、翻訳者になってから、何歩か先に行っているというだけ
のことです。逆に、私のように専門から入るタイプの人間からすれば、言葉とい
う面を大学で勉強してきた人は、そちらの側面では何歩か先を行っているはずだ
と思いますし。

よくよく考えてみると、南都さんが言われているのは、大学や企業で専門として
やってきたという意味の専門はなくてもいい、翻訳者としての専門は勉強して作
る必要がある、ということになるのだと思います。それは、「内容が理解できな
ければ翻訳はできない(だから勉強すべき)」という私などの立場と何も異なる
ことはないと思います。

ただ、「勉強すべき」に重きを置いて書くか、「大学なりで専門として勉強して
きてなくても大丈夫」に重きを置いて書くかの違いにすぎないと思うんです。

そのとき、南都さんの「勇気づけたい」というお気持ちもよくわかりますし、そ
れはそれで大事なことだろうとも思います。

ただ、同時に、「専門を持たない人間でも翻訳はできる」という書き方をする
と、「対象分野の勉強をする必要はない」というふうに解釈してしまう人が多
い、特に、これから勉強していくべき人たち、業界に入ってきて日が浅い人たち
が、そういう誤解をしてしまうことが多いということもあるんです。私は、こち
らが気になるので、「勉強すべき」というほうに重きをおいた書き方ばかりをし
ています。南都さんもまとめられているように、いろいろな仕事があり、クライ
アントの要求もさまざまなので、専門的な知識がまったくない状態でも仕事がで
きないわけじゃありません。専門的な知識がない状態で仕事としてやってお金が
もらえている、勉強はしなくていいらしい、というふうに理解してしまうと、そ
の人は、そこで止まってしまいます。それはそれで、不幸なパターンだろうと私
は思うわけです。

Best regards,
Buckeye

p.s.
自分自身が書いたので、このスレッドはわりとこまめに見ていました。ただ、い
ろいろと忙しくてコメントを書く時間がなかなかとれず、なんだか気の抜けたタ
イミングになってしまったこと、申し訳ありません。

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同感。感謝南都隆幸 E-mail 8784/27-16:50
 記事番号877へのコメント

Buckeyeさん、建設的で包容力のあるコメントをありがとうございます。

[Buckeye さんのコメント]
南都さんも、専門知識がないままでいい(各分野の勉強などする必要はない)と
言われているわけではなく、勉強すべきだと言われているわけですよね?

[南都からの返答]
全くその通りです。

[Buckeye さんのコメント]
ただ、大学や企業で勉強した人は、その時点で勉強したから、専門という面で
は、翻訳者になってから、何歩か先に行っているというだけのことです。逆に、
私のように専門から入るタイプの人間からすれば、言葉という面を大学で勉強し
てきた人は、そちらの側面では何歩か先を行っているはずだと思いますし。

[南都からの返答]
まさに私が言いたかったことを、最も的確に仰いました。世の中の人は、なかな
か Buckeye さんのように客観的に物を見ることができず、自分に自信がなかった
り、その反動として傲慢になったりして、何とかして自分が誰よりも上だという
ことを無理矢理に証明しようとして、人間を評価するための座標軸を自分中心に
置いてしまいます。

だから、「専門知識がないと・・・」という議論をする人のほとんどは、「だか
ら俺様が一番なんだ。お前らには一生、俺には追いつけまい」という態度が、口
には出さないまでも、心の奥底に見え隠れします。でも、Buckeye さんはそんな
方では決してないのだということが、今回のこのコメントを読ませていただい
て、よくわかりました。

[Buckeye さんのコメント]
ただ、同時に、「専門を持たない人間でも翻訳はできる」という書き方をする
と、「対象分野の勉強をする必要はない」というふうに解釈してしまう人が多
い、・・・専門的な知識がない状態で仕事としてやってお金がもらえている、勉
強はしなくていいらしい、というふうに理解してしまうと、その人は、そこで止
まってしまいます。それはそれで、不幸なパターンだろうと私は思うわけです。

[南都からの返答]
なるほど、よくわかりました。そうですね。私の書き方は、誤解される書き方で
あるようですね。前後関係を深く読み取る Buckeye さんでさえ、うっかりすると
私の言いたいことが読み取れない可能性があったかもしれないところを見ると、
私の書き方は、よほど稚拙であったようです。すみません。どうも私は、自己表
現が下手なもので・・・。

もう一度、申し上げます。Buckeye さんの暖かいコメントに感謝します。そし
て、またもや私が下手な自己表現をしていたら、お時間のあるときで結構ですの
で、「そういう言い方をすると、またこれこれこういうふうに解釈されてしまう
よ」とご指摘いただけますと、大変、助かります。甘えてすみませんけど、ほん
とに私は、自己表現が下手なんです。

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Re:同感。感謝Buckeye E-mail URL8794/27-18:43
 記事番号878へのコメント

☆ 南都隆幸 さん

>>なるほど、よくわかりました。そうですね。私の書き方は、誤解される書き方で
>>あるようですね。前後関係を深く読み取る Buckeye さんでさえ、うっかりすると
>>私の言いたいことが読み取れない可能性があったかもしれないところを見ると、
>>私の書き方は、よほど稚拙であったようです。

いや、勉強が大事だとわかっている人なら、読み違う心配はまったくない書き方をされ
ていたと思いますよ。

それでも、専門分野の勉強について迷っている人たちや、翻訳という仕事がまだよくわ
かっていない人たちの中には、けっこう、読み間違ってしまう人が多いだろうなと思っ
たのです。今まで、同じような話の展開で読み間違ってしまう人をたくさん見てきまし
たし(私の投稿が誤解の元になったことも、もちろん、あります)、特に今回の南都さ
んのお話は、「専門を持つことが重要」(=「だから専門の勉強をすべき」とつながる
イメージが強い)という考え方に対する反論ともいうべき形式で書かれていましたか
ら。

  私自身は、「勉強すべき」に重きを置かない限り、メッセージを伝えたい相
  手の大半が間違ってしまうというくらいのつもりで書いてます。

ただまあ、だからといって、南都さんが、それこそ、私と同じような書き方をすべきと
も思いません。翻訳の仕事もさまざまなら翻訳者もさまざまでいいというようなこと
を、たしか、南都さんも書かれていましたよね。私もそう思います。そして、翻訳者が
さまざまなら、その翻訳者に適したアドバイスもさまざまなはずです。私のような書き
方(けっこう厳しいことが多いと思います^^;)がピンとくる人もいれば、南都さんの投
稿に励まされる人もいるはずです。そういう意味では、いろんな人がいろんな意見を書
くというのが一番なのかなぁと思います。

南都さんにはファンがおおぜいおられるようですし、あまり気にせず、思うことを思う
ように書かれたらいいのではないでしょうか。

Best regards,
Buckeye

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うれしいです南都隆幸 E-mail 8804/27-19:54
 記事番号879へのコメント

再三にわたって、温かいメッセージをありがとうございます。私のようにコミュニケーシ
ョンが下手な人間が乱暴にメッセージを書いても、Buckeye さんや、隣の「相談室」にお
られる楊貴妃さんのような方が適度に軌道修正してくださるので、初心者の方々も、私を
含めていろんな人のコメントを読み違えることなく、自分たちの道を模索していかれるこ
とでしょう。

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「内容が解らなくても翻訳はできる」stzz 8814/28-09:18
 記事番号835へのコメント

南都さんのお書きになったことに感動したので少しだけコメントします。

「内容が解らなくても翻訳はできる」は技術翻訳ならある程度そうだと思い
ます。

初心者は 「全てを理解しないといけなのか!」 と思うので恐怖を覚えま
すが、全てを理解する必要はありません。

私も技術翻訳をいろいろやりましたが、基本的な語彙が解って、
大まかな議論の流れが把握できれば、それで十分なのです。

数学の問題と回答の対があるとき、その問題を解く能力が全くなくても、
それを翻訳することはできます。

以上のような事がかなり近いうちに納得できると思います。

(蛇足: 内容を全く理解していない機械翻訳機がかなり良い翻訳をす
る。)