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◇┳会話力と産業翻訳力-投稿者:牛乳屋(6/30-17:09)No.2592
 ┗┳文化理解も大事だと思います。-投稿者:kyotag(7/1-02:07)No.2598
  ┗┳文化理解のための質問-投稿者:牛乳屋(7/1-20:43)No.2600
   ┗┳Re:文化理解のための質問-投稿者:kyotag(7/2-08:40)No.2604
    ┗┳お礼、そして日本での洋書店-投稿者:牛乳屋(7/2-17:13)No.2607
     ┗━Re:お礼、そして日本での洋書店-投稿者:kyotag(7/13-22:52)No.2677


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会話力と産業翻訳力牛乳屋 25926/30-17:09

猫さんが以前、
「会話ができてこそ、言語の本当の意味がわかる」
という意味のことをおっしゃり、
それに対して、たくさんの人が総攻撃されました。
その話題のスレッドが、
古い記録のコーナーに追いやられてしまっているので、
新たにここにその話題に触れることをお許しください。
管理人さん、ごめんなさい。

結論から申しますと、
私は、猫さんのおっしゃることに
一理あると思います。
ただし、猫さんたちのメッセージを
「会話のできない人は翻訳する資格なし」
とは解釈しておらず、
「産業翻訳者だからといって、
論文や契約書ばかり読んでいないで、
その基礎である口語に立ち返ることを忘れないで」
という意味だと、私は(勝手に)解釈しています。

だって、実際そうでしょう?
「完璧なバイリンガルが、日本語・英語の両方で
高等教育および職業訓練を受け、
そのあとに産業翻訳者になるのが理想だ」
ということは、みんなが認めることでしょう?
でも、日本語と西洋語とのあいだの橋渡しの場合、
西洋暮らしが長くて
しかも技術・ビジネス分野の日本語を駆使できる人が
まだまだ不足しているため、
私のような者でも和英翻訳者として
使ってもらえるのです。

私は、英語圏に一秒たりとも
足を踏み入れたことがありません。
英語ネイティブとの付き合いはまるでなく、
ブロンドの白人から英語で話し掛けられると
真っ赤になる始末。

しかしそんな私でも、
英語を深く深く愛しているので、
あらゆる種類の英語を読んだり聴いたりしてきました。
わたしの理想は、実務翻訳者として
政治経済社会、科学技術、文学その他の人文科学、
映画やテレビドラマ、歌の文句、
そして子供同士の会話に至るまで、
ありとあらゆる英語と日本語の
文章と話し言葉に大量に触れつづけ、
それらをすべて吸収することです。
そしてそれを土台にして、
契約書や会計書類や科学論文や
環境問題報告書や仕様書やカタログを
訳していきたいと思っているんです。

ですから、猫さん、
ずいぶんみんなから攻撃されたようですが、
それに懲りないで、戻ってきてくださいよ。
私のような者に、口語英語や外国の事情を初めとして
いろいろ教えてくださいよ。

とはいっても、私には変なプライドがあり、
面と向かって帰国子女から何か教えられると
ムッとするかもしれません。
でも、ここはデジタルの会議室。
本名も素顔も見せなくてすむ。
その匿名性を十二分に生かして、
帰国子女と普通の日本語ネイティブと、
外国人と老若男女が、
互いのいい部分だけを吸収しあえば
いいんじゃないでしょうか?
そのためにこの会議室はあるんでしょ?

このような場を与えてくださっている
管理人さんに、深く感謝しています。

ではまた。

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文化理解も大事だと思います。kyotag 25987/1-02:07
 記事番号2592へのコメント

牛乳屋さんは No.2592「会話力と産業翻訳力」で書きました。
>猫さんが以前、
>「会話ができてこそ、言語の本当の意味がわかる」
>という意味のことをおっしゃり、

初仕事がまだ来なくてヒマにしているkyotagです。

牛乳屋さんに賛成です。私は程度の低いバイリンガルですが、(ところで、
猫さんのThreadで、「バイリンガル」と自分でいうのは傲慢だみたいな書込
みがありましたが、とくにそういう意味はこの言葉にはないとおもいま
す・・・。ただ単に2か国語話せる、くらいの意味です。)、翻訳ができる
こととバイリンガルであることはほとんど別のことだと理解しています。

そして、「会話ができてこそ」よりは、「文化が理解できてこそ」だと私は
思います。スラングや口語を知っていたからといって英語が上手ということ
にはなりませんし、こちらのビジネスでは、ビジネス口語(Hockystickと
か、Move the yardstick,Out-of-the-box thinking,
touch baseとか)をしらないと、会議中などに「?」と思うことはあります
が、逆にこれらを使いすぎると、お偉い様やお客様に眉をひそめられるのは
必至ですし、仮に知らなくても、翻訳ならば調べる時間もあります。また、
これらの言葉を日本語に置き換える技術は、さらに高度なもの(センス)が
要求されるとおもうのですが。

それよりも、口語、文語問わず、その基底にながれているものー文化ーを理
解することが大事なような気がします。たとえば、英語なら、聖書の理解が
まず重要です。(もともと英語のスペリング・文法はKing James Version
の聖書によって出来上がったものですし)あるとき、"judge the quick
and the dead"というのを、「急ぐものと死者を裁く」、と訳されたものを
見て、クリスチャンである私は、目が点になりました(もちろん、Quickに
その意味を含ませてWittyに使っている文脈ではありません)。これは、ご
存知「Apostle's Creed」の一部で、95%が神を信じるというアメリカで
は、ほとんどの人がクリスチャンにとって一番重要な「主の祈り」を覚えた
らすぐに覚えさせられる、かつての「教育勅語」のようなものです。(たと
えが古くてすみませんが、念のため、私はまだ30代前半です)。

まだまだアメリカの企業のトップはクリスチャンが圧倒的ななかで、産業翻
訳(とくに雑誌、新聞)では、聖書の知識があれば、さらに深い訳ができる
と思います。英語の文脈で、聖書の言葉や言い回しはたくさん出てきます
が、いちいち「これは聖書からとっている」と断る場合はまれであるからで
す。布教できるほどには聖書の知識をもっていませんが、聖書か聖書解説書
を一読されることをお勧めします。読みやすいのは、New Revised
Standard Version(NRSV)のHarper Collinsから出ているStudy
Bibleでたしか$40くらいです。

最新のFortuneにGod And Businessという記事がトップで出ており、非常に
面白い考察がされていました。アメリカの企業の現場を垣間見るようです。
気前のいいFortuneサイトに全文が掲載されています。(以下)
http://www.fortune.com/indexw.jhtml?
channel=artcol.jhtml&doc_id=203106>

皆様には釈迦に説法で申し訳ありません、でも、特にキリスト教に関して
は、私の知る限りとんでもない誤訳が多いんです・・・。

kyotag


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文化理解のための質問牛乳屋 26007/1-20:43
 記事番号2598へのコメント

kyotagさん、丁寧なコメントをありがとうございます。
何度もkyotagさんのコメントを読みました。
そして、英米で育っていない私が、
〔頭の悪いせいもあるでしょうが)
いまだにこのような英米人にとっての常識を
まったく知らないということを再確認しました。
kyotagさんのおかげで、勉強になりました。
何よりも
「英語が得意なつもりの私も、実は何もしらない」
ということを思い知って、快い絶望を抱いております。

質問です。
私は、kyotagさんが指摘された下記の英語表現のうち、
(1), (2), (4)については、まったく知りませんでした。
聞いたことも見たこともない。
(3)と(5)についても、きちんとは知らない。
お恥ずかしい、と思って手元の辞書をあれこれ見てみましたが、
あれ?見つからない。
かろうじて、数ヶ月前に出たばかりの「ジーニアス英和大辞典」で
(5)のApostles' Creedについて、たった2行の解説があるだけ。
インターネットで調べると、(1)から(5)まで、
英語のサイトで例文はおびただしく見つかりますが、
その辞書的な意味が見つかりません。
ましてや、和文による解説は皆無です。

(1) hockystick
(2) move the yardstick
(3) out-of-the-box thinking
(4) touch base
(5) judge the quick and the dead (the Apostles' Creed)

すみませんが、(1)から(4)までの表現について、
例文つきで解説していただけませんか?
なお、(5)については、英文のウェブサイトでたくさんの解説を
見つけましたので、だいたいわかりました。
でも今回ウェブサイトで調べるまでは、
The Quick and the DeadというSharon Stone主演の映画によって
何となく聞いていただけで、これが実は、The Apostles' Creedという、
私は知らないけれども英米人のほとんどの人が暗記している
文章のうちの一節で、
しかもthe living and the deadという意味であることとは
まったく知りませんでした。
〔聖書をまったく知らないわけではなく、
英語で一冊、日本語で10冊程度のキリスト教関係の本を
通読したことはあったんですが・・・。)
〔もちろん、映画の中では、quickを
livingという意味と「すばやい」という意味との
二重の意味で使っているらしいですが・・・。)

あと一つ。
(1)から(4)のようなビジネス口語を、日本に住む人が
書物やテレビドラマなどで身につけようと思ったら、
どのようなものを推薦されますか?
できれば、(1)から(4)までが
すべて掲載してある辞書があればいいんですが・・・。
テレビ番組についていえば、オフィスでの会話が多いものとして
私がよく観るのは
(1) Murphy Brown(Candice Bergen主演、ニューススタジオの職場での
どたばたを描いたコメディ)
(2) Spin City(Michael J. Fox主演、New YorkのMayorのオフィスでの
人間関係を描くコメディ)
この二つです。
これらの番組は、アメリカでのオフィスでかわされる会話を
けっこううまく反映していますか?
このような番組に出てくる英語表現を一つ一つ憶えていけば、
ビジネス口語をいくらか身につけることは、できるんでしょうか?

これらのビジネス口語は、一般の実務翻訳では出てこないでしょうが、
口語の結晶化したものが文章語であるとすれば、
これらのビジネス口語も一通り覚えて初めて、
文章語の契約書や科学論文も本当に理解できるのではないか、
と私は考えています。

ですから、英語圏で仕事をなさっている人たちからの情報は
大歓迎。
これからも、いろいろ教えてくださいね。


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Re:文化理解のための質問kyotag 26047/2-08:40
 記事番号2600へのコメント

牛乳屋さんは No.2600「文化理解のための質問」で書きました。
>「英語が得意なつもりの私も、実は何もしらない」
とんでもありません、私はアメリカに来て、「会話をもたせるために」、また
「英語より、仕事を前に進めるために」それまで好きだったつもりの英語を、
言葉としてはAbuseしてしまったような気がします。そのため、たぶん、言葉
としては、日本で英文科の学生をしていたころのほうが、英語に対して謙遜だ
ったと思います。ですから、この掲示板をみて皆さんが大変気をつかって訳を
されていることを目の当たりにし、「習慣化してしまった」言葉にたいする雑
なアプローチをまず鍛え直さなくてはと思っています。

、(1)から(4)までの表現について、
>例文つきで解説>

>(1) hockystick
ホッケーのスティック(選手が持っている棒)を横から見ると、急に右上がり
になっているため、グラフ上で激増する線のようにみえることから、売り上げ
などが大成功すること。That product was a hockeystick success.
>(2) move the yardstick
アメフトで、チームが少しづつ敵のゴールに押していくとき、横のほうで審判
が蛍光オレンジ色の案山子のようなものを動かして、次のスタートラインを決
めることから(アメフトのルールに詳しくないので間違っていたらご勘弁くだ
さい)「目にみえる前進をする」。
Cisco moved the yardstick in the router market last year.
>(3) out-of-the-box thinking
画期的な/創造的な/前例にとらわれない発想。(レジュメなどに良く使われ
ます)My strength: out-of-the-box thinking.
>(4) touch base
これは、電話会話などで使われます。「連絡をとる」くらいの意味でしょう
か。I'll touch base with you. や Just wanted to touch base with
you.など。

お役に立ちましたら幸いです。

>(1)から(4)のようなビジネス口語を、日本に住む人が
>書物やテレビドラマなどで身につけようと思ったら、
私は、漫画「Dilbert」がいいとおもいます。最近人気は落ちてきているよう
ですが、オフィスの様子や普通の会社員がよく分かりますし、日米の違いと同
時に類似点もたくさんあって、楽しく勉強になります。作者はもとUCバーク
レー卒のMBAで、いわゆるホワイトカラー(特にハイテク)がオフィスで使
う英語の宝の山です。http://www.dilbert.com/でご覧になれます。あとは、
ご指摘の通り、こちらのテレビ番組や映画も有効だとおもいます。

>これらのビジネス口語は、一般の実務翻訳では出てこないでしょうが、
>口語の結晶化したものが文章語であるとすれば、
>これらのビジネス口語も一通り覚えて初めて、
>文章語の契約書や科学論文も本当に理解できるのではないか、
>と私は考えています。

同感です。

>これからも、いろいろ教えてくださいね。
こちらこそ、まだ「駆け出し」てもいない新米(どころか、苗)ですが、どう
ぞ宜しくお願いいたします。この間教えて頂いた辞書をアマゾンでオーダーし
ました。有り難うございます。


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お礼、そして日本での洋書店牛乳屋 26077/2-17:13
 記事番号2604へのコメント

kyotagさん、
すごく謙虚な方(かた)ですね。
言葉や文化を本当に大切にしながら
懸命に生きておられる姿が、文面に表れています。

四つの英語表現について詳しく説明してくださって、
本当にありがとうございました。
見事な解説!!!
いずれ「アメリカビジネス口語表現・文化辞典」のようなものを
作ってくださいね。

Dilbertの漫画は、本屋でちらちら立ち読みしたこともあるし、
実は私の本棚に一冊あったのです。
The Dilbert Future (1997)です。
最初の40ページほどだけ読んで、
放ってあったのです。
今日からはこの漫画を見直そうと思います。

ご紹介した辞書をアマゾンで
さっそくオーダーしてくださったんですね。
いやあ、恐縮です。
前回ご紹介した辞書は、
小さい割には私にとって役立つ、使いやすい
読みやすい辞書だけをほんの数冊、ご紹介しました。
他に必要があれば、どんどんお尋ねください。
アメリカにおられると、日本の書籍が手に入りにくいので、
どのような辞書があるのかさえ、
わかりにくくてご不便でしょう。

書物というものは、手にとって
一冊を何時間も立ち読みして、
それでも買う決心がつかず、
一週間後に出直して、また一ヶ月ほうっておいて、
何度も本屋で出会って、
一年も二年も経って、あるいは何年も経ってから
やっと購入する、というのが理想ですので、
いくらインターネットなどが発達しても、
やはり電車に乗って、朝から晩まで本屋めぐりをし、
両手がちぎれるほど辞書などを買い込んで、
汗をかきながら持ち帰るのが一番ですよね。
日本語の書籍の購入に関しては、
東京23区内に住む私はラッキーです。

ただし、洋書については、きわめて不幸です。涙・・・。
日本でもっとも洋書の多いはずの東京でさえ、
洋書コーナーがどんどん縮小してきています。
バブルがはじけて久しい日本は、
2-3年前からさらに経済の状況が厳しく、
そのあおりを食らって、洋書コーナーも
小さく小さくなっています。
渋谷の大盛堂書店にある洋書コーナーは
十分の一くらいに縮小。
あちこちの書店の洋書コーナーは、全滅に近い状態。
洋書の老舗である丸善だけは別だろう、と
タカをくくっていた私は、
ほんの数ヶ月前に大幅に縮小された
丸善洋書コーナーを見て、
愕然(がくぜん)!!!
売り場面積は、
三分の一くらいになってしまったでしょうか?
狭いところに、ぎゅうぎゅうと洋書が詰め込まれ、
立ち読みする気も起こりません。
今の唯一の頼みの綱は、
東京新宿の代々木駅付近に最近できた
紀伊国屋書店の新宿南店。
東京都内の〔従って日本全国で)
現在の最大の洋書コーナーは
ここだろうと思います。

つまらん愚痴めいた話になりました。
でも、洋書が駆逐されつつある今の日本は、
寂しい・・・。

日本におられる他の方々は、
よい洋書をどうやって探し、
どうやって購入されてるんでしょうか?
どなたかお答えくださればありがたいです。

ではまた。


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Re:お礼、そして日本での洋書店kyotag 26777/13-22:52
 記事番号2607へのコメント

牛乳屋さんは No.2607「お礼、そして日本での洋書店」で書きました。
いずれ「アメリカビジネス口語表現・文化辞典」のようなものを
>作ってくださいね。

最新のBusinessWeekで、これらのビジネス口語が英語圏で受けている評価み
たいな記事がでていました。面白かったのでURLをコピーしてみました。

http://www.businessweek.com/careers/content/jul2001/ca20010710_6
91.htm?c=bwinsiderjuly13&n=link42&t=email

kyotag