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◇┳訳文の無断引用について-投稿者:にくきう(11/20-12:17)No.3694
 ┗┳Re:訳文の無断引用について-投稿者:Takacjo(11/24-20:48)No.3698
  ┗━ありがとうございました-投稿者:にくきう(11/25-21:29)No.3700


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訳文の無断引用についてにくきう 369411/20-12:17

ビジネスレターや私信の訳文にも著作権があるのでしょうか?
あるとしたら、それは誰のものでしょう?
個人のお客様との事なのですが、
以前私が訳した私信の一部を、お客様が個人名で出版された
書籍に引用したそうなのです。
毎回ご依頼を頂く度に契約書を交わしており、その中には
「業務上知り得た情報を、双方とも相手方の同意なく無断で
第三者に提供、漏洩することを禁ずる」とあります。
なのでこれは契約違反になるのでは?と思うのですが
事後報告とはいえ、先方から正直に話して下さったことだし
平謝りされてしまったので、今回は水に流すつもりです。(甘い?!)
ただ、今後はどうしたものかと。
私の心情としましては
@事前に許可を取って欲しい
A訳者名を掲載して欲しい
B翻訳料を値上げ・・・といったところです。
また営利目的の出版物ではなく、個人のホームページや
社内報といったものに訳文を引用する場合はどうなりますか?

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Re:訳文の無断引用についてTakacjo 369811/24-20:48
 記事番号3694へのコメント

にくきうさん、こんにちは、Takacjoと申します。

にくきうさんは No.3694「訳文の無断引用について」で書きました。
>ビジネスレターや私信の訳文にも著作権があるのでしょうか?
>あるとしたら、それは誰のものでしょう?

翻訳は、原著作とはべつの著作物である二次著作物として著作権法
で保護されるというのが原則です。しかし、原著作物に新たな創作性
が加わることが条件です。高度な文芸翻訳については、創作性が認め
られる場合が多いと思いますが、ある程度の力を備えた翻訳者であれば
ほとんど同じ訳文になるようなビジネス文書や技術文書については
保護は薄くなると思われます。

>以前私が訳した私信の一部を、お客様が個人名で出版された
>書籍に引用したそうなのです。

お客さんに対して翻訳を有償でしたということは、そのお客に翻訳の
処分権を渡したとも考えられます。お客が翻訳をどのような形で使うか
契約に規定があったのでしょうか。なければ、どのようなかたちで、
何回つかおうとお客の自由という契約であったという可能性もあります。
契約の詳細が分からないので確言はできませんが。

>毎回ご依頼を頂く度に契約書を交わしており、その中には
>「業務上知り得た情報を、双方とも相手方の同意なく無断で
>第三者に提供、漏洩することを禁ずる」とあります。
>なのでこれは契約違反になるのでは?と思うのですが

第三者に対する情報の漏洩と、客自身が訳文を利用する(お客が
出版した書籍に引用する)ことはべつの問題だと思います。

>>また営利目的の出版物ではなく、個人のホームページや
>社内報といったものに訳文を引用する場合はどうなりますか?

基本的には、翻訳の買取ではないかと考えられます。文芸翻訳では
翻訳者の名前で訳書の売れ行きが違うというような場合、翻訳を
引用するような場合でも、訳者の名前を出すようなことはあると
思います。しかし、技術・ビジネス文書では通常そのようなことは
ないでしょう。私信がどちらに近いのかによって判断が異なるように
思われますが。


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ありがとうございましたにくきう 370011/25-21:29
 記事番号3698へのコメント

Takacjoさん、貴重なご意見をありがとうございました。
お客様と話し合った結果、今後は契約書を見直し
料金も一部改訂することになりました。