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◇┳訳の逸脱?-投稿者:Souroin(1/16-22:14)No.3764
 ┗┳Re:訳の逸脱?-投稿者:TAKIN(1/17-11:32)No.3765
  ┗━Re:訳の逸脱?-投稿者:Souroin(1/20-21:00)No.3773


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訳の逸脱?Souroin 37641/16-22:14

まずは管理人様、余りに基本的なことなので「お知恵に」載せずにこちらに
記載しましたが、やはりお知恵に属するものと判断された場合は御教示頂け
れば幸いです。

皆様お邪魔いたします。企業様で医薬品の翻訳をさせていただいております
Souroinと申します。翻訳は勉強歴も含めて恐らく3年になりますが、社会に
出てからは正式には数ヶ月の初心者です。その初心者から極めて初歩的な質
問に対する御解答を恐れながら先輩方にお願いすることにさせていただきま
した。

以前学校で御指導頂いた先生からは(恐らく文章の性質にもよると思われま
すが)医学文献は厭くまでも人間も観察対象なので「症状が見られた」など
のように英日訳で書くように御指示頂いたことがありました。実際その後英
日訳には携わったことがなく、元の仕事で従事してきたCommunicationから
日英訳をさせていただく好機に恵まれまして、現在の職場にて従事させて頂
いている次第なので、基本的なStyleなどは手探りの状態です。

No growth inhibition was found in the incubated culture E or F.
Neither of the incubated culture E nor F showed growth
inhibition.

等に置きかえる事が出きると思いますが、基本的にどれぐらい逐次訳から離
れることが許容される物なのでしょうか。文章によっては、また流れによっ
ては日本語の文章の頭と尾を逆さにすることで文章がすっきり行くこともみ
うけられるので、あるいは事象の対象が文章の流れから日本語では反対にな
っているときなど、私としては主語を目的語に持っていったり、あるいは文
意から英語事態を敢えて逆の語彙を使用して訳す事がありますが、社内なの
で自分の評価に影響することを然程気にしないならばある程度実験的に訳し
御校正頂くことができますが、当然社内であってもそのような手間はなるべ
くかけないよう勤めるべきと思い、質問にいたりました。また此れは将来願
望をかなえて独立した際にも役に立つので、恐れ多いことですが先輩方々に
御意見を賜れればという発想で投稿させて頂いております。

試験手順に関しても、文献ではやはり実験に供される動物、ならびに使用さ
れる試薬が主体で調製手順を書くことも今の職場では指定されております。
ただ、Webでは動詞で始まる指示形式の手順書があったりすることもあり、
実験の結果の一部として手順書を別紙として報告している場合は、動詞で始
まる文章が良いのか、それとも使用された物が主体にされるべきなのか迷う
ことがあります。…このような場合は上司に質問するべきと思われますが、
一般的な傾向も掴みたいので御意見を賜れればと存じます。

余りに漠然とした質問で申し訳御座いませんが、御意見を頂ければ幸いで
す。

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Re:訳の逸脱?TAKIN 37651/17-11:32
 記事番号3764へのコメント

はじめまして。フリーランスの翻訳者を10年あまりやっている者です。

基本的には「逐語訳からどの程度離れているか」を問題にする必要はないも
のと考えます。必要なのは、原文と訳文の意味が一致することであって、表
現形式が一致することではありません。英語と日本語は構造が大きく異なる
言語ですから、表現形式が一致しないのはむしろ当然です。

ただしここで「意味」というのは個々の語やセンテンスの意味だけではな
く、原文書の性質(論文であるか新聞記事であるか広告であるか、どんな読
者が想定されているか、等々)も含まれると解釈してください。これらはい
わば「コミュニケーション上の意味」です。

お示しの例でいえば、肝要なのは訳文が英語の論文なり試験手順書なりとし
て通用する文章であることです。そのためには基本的に idiomatic な英語で
あること(日本語を逐語的に英語に直しただけではこの段階で失格します)
に加えて、英語の論文あるいは手順書のスタイルに合致することが求められ
るでしょう。更に顧客が特定のスタイルを要求する場合は(たとえば手順書
を命令文で書くか平叙文で書くか)、それに合わせることになります。

この条件をクリアしていれば、受動態を能動態に訳そうと、肯定文を二重否
定文に訳そうと問題ではないでしょう。むしろ逆に、そうした条件をクリア
するために様々な(逐語的でない)訳し方を工夫するわけです。

以上はあくまで私個人の理想です。現実には原文が完全に理解できるとは限
らず、表現能力にも限界がありますから、原文の形に引きずられた訳文しか
できないこともあります。また顧客が逐語訳にこだわれば譲歩することもあ
ります(何せ神様ですので (^_^))。しかしこの考え方で10年以上仕事がで
きているので、大きくは誤っていないものと考えております。

私の答も漠然としていますが、何らかご参考になれば幸いです。


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Re:訳の逸脱?Souroin 37731/20-21:00
 記事番号3765へのコメント

Takin様
遅くなりました。御意見賜りまして有難う御座いました。
私が載せた文章もまだまだ研鑚が必要と聞えました。尤もです。
噂には聞いている厳しい世界だけに、それでもこうして御意見を
賜れたことだけでも励みになります。

今は先方様の意向で前任者達の校正をさせていただいておりますが、
様々な訳者の方がいらしてその中でも逐次な訳ー文法としては
一応問題がないように見えても、文章の流れ事態が斬新なパッチ
ワークだったりする文章があったり、その逆にこなれた訳で仕事を
忘れて熟読してしまうこともあります。

おっしゃられた通り逐次的な英語は意味を成さないので単に英語
のようなものであり、私もそうならないようには注意を払って
おります。態や事象の入換など文章の流れで自動的に決まってくる
ものだということは、改めて実感します。が、まだぎこちないです。

更にスタイルに適合するということも含めてこれらの要素が翻訳を
絶対的回答が作れない理由にしているのでしょうね。やはり実社会に
出てみると市販では余りお目に掛からない性質の書類や、専門分野
として扱っている辞書でも出ていない言葉や、それに対する知識を
調べる…翻訳に何が必要であるかという事を色々書籍などで読んで
頭では分かっていた(要するに”つもり”)でもバランスを取ることは
やはり難しいですね。

一般のフリーランスの方のされた訳も幸い拝見させていただくことが
あり、校正を頼まれましたが、あまりの流暢さにわたしは殆ど直さず
出したところやはり先方様からの指摘で直すところが結構発生しました。
先方様の好みかスタイルかはまだ入りたての頃の作業でしたが、そういう
部分で、フリーランスの方々の本来の理想を発揮できないところもある
のかと思いもしました。

実社会でかけだしたばかりの自分に芽生えた不安から、模範回答的な
ものを求めて恐らく安易な漠然とした質問だったと思いますが、御返答
頂いた通り、生涯学習のように日々研鑚し思考錯誤し、学んで行くのが
正道なのだと…時々こうして御好意で漠然とした指針ーおそらくそれが
精一杯であると思いますが、それを頂けただけでも方角が月夜の光に
照らし出されたような思いです。有難う御座いました。広義的ですが
御返答も大きな物でした。