トロ子さん、たけださん、情報をありがとうございます。
すでに言いましたが、文脈によって、もし「事業所」が「生産拠点」
つまり「工場」のみを表しているときには思い切って a works, a
factory などと訳していいのだろうと僕は思います。
ただし、「事業所」が「工場」だけでなくきわめて広い意味で使って
いる文脈においては、an operational site, a business place, a
place of business, a location などと訳してもよいみたいですね。
最後の a location については、たとえば "the New Jersey
location" という言葉を「ニュージャージー事業所」という意味で使
っているように思えるウェブページがいくつもあります。
さて、「事業所」がそういうふうに広い意味で、しかも単独で使われ
ているときにはそういう用語を使えばいいとしても、たとえば「神戸
事業所、尾道事業所、滋賀事業所」などというときには、どうすれば
いいでしょうか? "the Kobe operational site, the Kobe business
place, the Kobe place of business" という言い方はしないのではな
いかという気がします。その点、the New Jersey location なら使わ
れているようです。
(1) 弊社には、事業所が12箇所あります。
(2) 弊社の事業所としては、神戸事業所・尾道事業所、そして滋賀事
業所があります。
この (1) の場合の「事業所」なら、an operational site, a place
of business, a business place などと言えます。でも、(2) の場合
には、それらの用語は不適切になってくると思います。その場合は、
location を使うか、あるいはこの場合に「工場」を意味しているらし
いことがわかったら、思い切って the Kobe Works, the Kobe
factory などと訳す必要が出て来るだろうと思います。
いずれにしても、メーカーが「事業所」という言葉を使うときには、
「大阪支店・東京本社・名古屋営業所」などと並んで「滋賀事業所・
尾道事業所」などと言っており、この場合には「事業所」が「工場」
という意味で使われているらしいので、なぜ「事業所」という曖昧な
言い方をしてしまうのか、僕には不思議です。でもこれは、僕が思う
には、従来の「工場」という言葉の持つイメージ、つまり「危険、き
たない、きつい」仕事をする場所というイメージを払拭したくて「事
業所」という言葉を充てているのだろうと思います。
もし日本語の「事業所」がそういう背景のもとに使われているとした
ら、そういうふうな「従来のイメージを払拭するためにわざと曖昧な
新しい言葉を使っている」ことを表す英語の対応語としては、どうい
うものがあるのだろうか、と思います。
そういう場合に、すでに言ったように an operational site と訳して
しまうと、「神戸事業所」を "the Kobe Operational Site" とはおそ
らくは言えないので、(works や factory を避けるとしたら)上記
の (1) と (2) とに共通して使える用語としては、今のところ僕には
location しか思い浮かびません。つまり、location を使えば、次の
ような二種類の文脈において同一の名詞を使えるのです。
(1) Our company has three locations.
(2) Our three locations are as follows: the Kobe location, the
Onomichi location, and the Nagoya location.
いずれにしても、企業が書いている産業関係の文書において「事業
所」らしきものをどのように英語で表現することが多いのかについて
は、それほどまで産業関係の文書を読んできたわけではないので、僕
にはまだよくわかっていません。
というわけで、「神戸事業所・尾道事業所」という場合の「事業所」
をどのように言うのが英語らしいのか、ご存知の方がおられたら、ど
うぞお教えください。ここで気をつけてほしいのですが、日本など
の、英語圏でない国の企業が使っている用語ではなく、あくまで英語
圏の企業がどのような用語を使っているかが問題です。
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