速読の話題が出ました。僕自身も、31才のころ、速読の技術を身につ
けたくてたまらず、5万円だったか10万円だったか忘れましたが、たく
さんのお金を投資して速読講座に通いました。そして挫折。
あれからいろいろ考え直して勉強しなおして、今の僕は思います。速
読の技術なんていうものは、実際には存在しないと思います。もしあ
るとしても、それはわずかな部分でしかないと思います。実際には、
速読ができる(つまり、たとえば1時間に一般的な小説が200ページく
らい読める)ということは、それだけの言語能力と、その文章の中に
込められている背景知識がそれだけ備わっているからだと思います。
小学生に原子物理学のテキストを読ませても、亀の速さでさえ読めな
いでしょう。しかし小学生にポケモンとか鉄道のお話とか、あるいは
好きなテレビゲームの攻略本を読ませると、大人がそれを読む速さの
10倍くらいで読むかもしれません。
文学が嫌いだけど機械工学が大好きなエンジニアが、自分のよく知っ
ている分野のテキストを読むと、一時間に100ページ読めるかもしれま
せん。でもその人は、文学が嫌いなので、森鴎外を読ませると、一時
間に10ページも読めないかもしれません。その反対に、文学青年は自
分の最も好きな作家の本を一時間に100ページ読むかもしれないけど、
嫌いな数学の本は、一時間に5ページさえ読めないかもしれません。
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