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タイトル: 英文を速く読む訓練
投稿者 :南都隆幸  <email> <Web>
投稿時刻 : 2008年6月26日10時38分 
本文:
英文を何とかして速読できるようになりたいと思い、いろいろと試行
錯誤していた時期が、僕にもありました。そういう試行錯誤の時期
は、5年か10年か、あるいはもっと長く続いていたと思います。松本道
弘があちこちの本で、TIME が一時間で端から端まで読めるとおっしゃ
っています。せめてその数分の一でいいから読めるようになりたいと
僕も思って、いろいろやってみました。でもダメでした。TIME は、広
告を除くと65ページくらいにわたる雑誌ですが、広告を除くすべての
記事を端から端まで読んで、時間を計ったことがあります。6時間30分
でした。そして、それがどの程度まで僕に理解できていたかは、疑問
です。なんせ、世界中の政治・経済・社会・科学技術・芸術・芸能・
歴史・宗教など、あらゆる分野にわたる広い興味と教養が必要です。

僕を含めてたいていの人は、そんなにまで広い分野にわたって興味を
持っていて、しかもそれについての日本語と英語の語彙を多く持って
いるなんてことはないと思います。僕の場合は、毎週 TIME を読み続
けることさえできませんでした。数ヶ月ほど読み続けて「なんと素晴
らしい雑誌だろう」と感動はしましたが、そのあとは、時事問題なん
てまるで興味のない自分に戻りましたので、TIME はおろか、英字新聞
さえ、いやいや、日本語の新聞でさえ読まない生活に戻りました。だ
から僕にはこういうのは向いていません。

時事問題には弱いので、一般のベストセラー小説ならよかろうと思っ
て、読みやすい大衆小説をたくさん読んだこともあります。Sydney
Sheldon や Stephen King は、僕でも一時間に 40 ページ読めた時期
があります。たとえば Stephen King の小説 400 ページが、10時間で
読めたのです。しかも、毎日毎日そういう読書をしていて、一日に
300 ページくらいずつ、二週間ほど読み続けていられたこともありま
す。これに気をよくして、僕も英語の速読ができるようになるかもし
れないと思っていたことがあります。でもやはり無理でした。

大衆小説で、しかも僕がたまたま好きでたまらない内容のものならそ
れなりに速く読めたものの、ちょっとばかり難しい教養書、たとえば
ユダヤ人の歴史についての 700 ページにわたる本だとか、哲学の歴史
についての本だとか、あるいは純文学の小説になると、途端に読むス
ピードが遅くなりました。科学技術関係の教養書となると、理科系の
知識の少ない僕にとっては、ますます難しくなりました。スピードが
遅くても何とか数百ページを読み通して荒筋が理解できればよいので
すが、辞書を引かなかったら荒筋さえ理解できないで、途中で放り出
してしまうものも多いのです。

ですから、日本語の速読さえできるだけの教養や言語能力を持たない
僕が、英語の速読をしようなんてのは、どだい無理なのだと思ってい
ます。今の僕は、そういうことは断念して、たとえばペーパーバック
なら一時間に10ページとか20ページという遅いスピードでもいいか
ら、好きな本を丁寧に読んで、その中で使われている英語表現を楽し
み、その中で描かれている芸術や歴史や思想などを読み味わって、丁
寧にそれを吸収することだけに専念していきたいと思っています。

ただ、仕事や趣味に関わる問題について、たとえばウェブ上で特定の
話題についての初歩的な知識を得たいと思っているとき、それらをす
べて読み味わっていたら時間がいくらあっても足りないので、そうい
うときには、日本語であれ英語であれ、できるだけ要領よく拾い読み
できるようになろうと努力しています。しかし、そういう「拾い読
み」の能力も、まずは「丁寧に読み味わう」体験をたくさん経たあと
に身についていくものだろうと思っています。


親記事コメント
速読について-投稿者:リック why things are/how staff works?-投稿者:たけだ

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