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タイトル: 会話から書き言葉へ(その2)
投稿者 :南都隆幸  <email> <Web>
投稿時刻 : 2008年7月11日15時33分 
本文:
(その1からの続き)

<会話>
You see that woman over there stretching on the floor? I hear
she's 23, and chances are she isn't a budding ballerina but a
law student and finds beginning ballet a relaxing break from
her books, you see.

目の前にあるバレエ教室の情景を指差しながら言っているとしたら、
やはりいきなり

the 23-year-old stretching on the floor isn't a law student
but....

というふうに、いきなり the 23-year-old とは言わないのではないで
しょうか?その女性が23歳であるということを読者がまだ知らない段
階でも、英語ではいきなり "the 23-year-old" というような言い方が
出てきそうですが、そのような言い回しは、やはり書き言葉において
だけ現われる洗練された技巧という感じがします。このような言い回
しをそのまま日本語にして、「床の上でストレッチしているその(例
の)23歳の女性は、〜している法学専攻の学生かもしれない」などと
いうふうに訳すと、いかにも翻訳調という感じがします。これを自然
な日本語にすると、やはり

(1) 「床の上でストレッチしている女性が、実際には23歳であり、〜
している法学専攻の学生かもしれない。」

というふうになるのではないでしょうか?そしてこのような (1) のよ
うな日本語をそのまま英語に訳すと、それはちょうど、話し言葉の中
で出てきそうな英語に近づくと私は思います。

というわけで、やはり私には、もともとの私のコメントの中で書いた
ように、次のようなことが言えるように思うのです。

(2) You may also see, for example, a 23-year-old stretching on
the floor. But... chances are she isn't a budding ballerina
but a law student who finds beginning ballet a relaxing break
from her books.

まずはこの (2) のような英文が頭の中にあり、それを簡潔な言い方と
して凝縮した結果として、洗練された書き言葉の文体として、今回の
英文の原文である、下の (3) のような英文が出来上がったのだという
気がします。

(3) But ... chances are the 23-year-old stretching on the
floor isn't a budding ballerina but a law student who finds
beginning ballet a relaxing break from her books.

なお、今回の私のコメントは、TAKIN さんのご指摘に対立したりケチ
をつけたりするつもりで言っているのではありませんので、どうか好
意的に解釈なさってください。おそらく TAKIN さんは、こういうこと
もすべて理解した上で、前回のコメントを書かれたのだろうと思いま
す。第一 TAKIN さんは、今回の原文が会話文そのものだと仰ったので
はなく、そういう会話を想定したらわかりやすいというような意味で
おっしゃったに過ぎないと思います。そして私は私で、言うまでもな
いことをわざわざ書かないと気がすまないので、今回のコメントでそ
れを書いただけなのかもしれません。

というわけで、今回も長々と書きましたが、稚拙な文章しか書けない
私が、しかも時間の制約のある中でこういう文章を書いて、しかも短
くまとめようとすると説明不足になって誤解を招くこともあるし、か
と言ってすべてを丁寧に説明しようとするとくどくなって読む気もし
ない長ったらしい文章になってしまいます。それでいて、最も大切な
部分が抜け落ちているかもしれないのです。どうか幼稚な頭で書いた
このような稚拙な文章をお許しください。(終わり)


親記事コメント
会話から書き言葉への変遷(その1)-投稿者:南都隆幸 なし

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