みなさんのお知恵拝借

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◇┳differential=差動 or 微分?-投稿者:カツラ(11/1-19:02)No.7273
 ┗┳Re:differential=差動 or 微分?-投稿者:LimaLima(11/1-21:55)No.7276
  ┣━Re:differential=差動 or 微分?-投稿者:LimaLima(11/1-22:00)No.7277
  ┗━Re:differential=差動 or 微分?-投稿者:カツラ(11/1-23:10)No.7278


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differential=差動 or 微分?カツラ 727311/1-19:02

初めまして。フリーで翻訳をやっていますカツラといいます。電子回路とコンピュータ関係を専門としており、エンジニア歴20年、翻訳歴5年といったところです。


 皆様のお知恵を拝借したいのですが、オペアンプの性能をあらわす用語と
して、

 differential gain, differential phase

というのがあります。

 回路屋出身の私としては、それぞれ「差動利得(ゲイン)」と「差動位
相」が自然なのですが、発注元から提示されている用語集は「微分利得」
「微分位相」となっており、たいへん違和感を感じています。

 ところがgoogleで差動と微分で検索してみると、微分利得のほうが圧倒的
多数として出てきます。

 反転入力と非反転入力との間に与えられた電圧に対する増幅ですので、時
間的変化を表す「微分」は言葉の意味からしても適切ではないと思います
し、なによりもこれまでの実務経験や勉強してきた中で「微分利得」という
表現をみたことがありません。

 私が知らないうちに世の中の趨勢が変わったということなのでしょうか。
それとも、回路を知らない翻訳者が辞書を引いてdifferential=微分で訳し
てしまったのが定着してしまった、というオチがつくのでしょうか。

 諸兄のアドバイスをいただければ幸いです。よろしくお願いします。



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Re:differential=差動 or 微分?LimaLima E-mail 727611/1-21:55
 記事番号7273へのコメント

カツラさん こんにちは

「差動利得」という言葉は、ふたとおりの意味で使われています。
一つめの意味の定義を以下に示します。

http://www.cqpub.co.jp/term/differentialgain.htm
差動利得 (differential gain)
 OPアンプの反転,非反転入力端子に加えた電圧と出力電圧の比である.
 OPアンプ自身の開ループ利得と同じである.入力信号を交流として,
周波数を変化させたときの,出力電圧を測定すると,差動利得の周波数
特性が求められる.

カツラさんは、こちらの意味ではないかと指摘されていると思います。


二つめの意味を以下に示します。この場合は「微分利得」「微分位相」と
いうペアでよく使われます。以下に引用している文のDP(微分利得)は
原文のまま引用したもので、DP(微分位相)と表現すべきところです。

http://www.arib.or.jp/tyosakenkyu/kikaku_hoso/hoso_bta_f_1001.html
DG(微分利得)、DP(微分利得)とは、輝度信号の変化で色信号が受ける
彩度と色相の偏差としてあらわれる非直線ひずみである。DGは色信号の
利得偏差で[%]、DPは色信号の位相偏差[°]で表す。

二つめの意味に対応する英文での定義を引用します。
http://www.fiber-ed.com/res-fiber_specs.htm
Differential Gain
DEFINITION: Unwanted variations (amplitude changes) in a chrominance
subcarrier’s amplitude that results from changes in the signal’s
luminance level as luminance is varied from blanking level to white
level. This causes the color saturation to be distorted.

Differential Phase
DEFINITION: Unwanted variation in a chrominance subcarrier’s phase
as a result of changes in the luminance signal’s level. This causes
the color hue to be distorted.

ビデオ信号の伝送について使われている用語で、それがオペアンプにも
広まったのでしょう。紛らわしいと感じますが、翻訳者の責任ではなく、英文
での表現を考えた人の責任でしょう。Gain VariationやPhase Variation
と書いておけば問題はなかったと思います。。


なお、翻訳ではない国内の資料に「微分利得」「微分位相」が使われている例
を紹介します。
http://www.toko.co.jp/products/pdf/semi_data/tk15444-6-8l-j-gc3_h003a.pdf
http://www.ntt-east.co.jp/senyo/pdf_gijutu/visual_1.pdf


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Re:differential=差動 or 微分?LimaLima E-mail 727711/1-22:00
 記事番号7276へのコメント

1か所訂正させてください。

(誤)「差動利得」という言葉は、ふたとおりの意味で使われています。
(正)differential gainという言葉は、ふたとおりの意味で使われています。

たいへん失礼しました。


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Re:differential=差動 or 微分?カツラ 727811/1-23:10
 記事番号7276へのコメント

 LimaLimaさん、ありがとうございます。
 目からウロコが落ちました(ホント)。

 ビデオ屋が使う「微分利得」もdifferential gain
 アンプ屋が使う「差動利得」もdifferential gain

 その意味の違いを理解せぬままに、{翻訳者|翻訳会社|クライアント}が「微分利
得」をアンプの翻訳用語としても使ってしまい、既に一部では定着して混乱を招いてい
るというわけなのですね。

 どうもありがとうございました。助かりました。