翻訳なんでも相談室 
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◇┳翻訳の過失とその責任-投稿者:JK(8/2-11:16)No.2779
 ┣┳Re:翻訳の過失とその責任-投稿者:たいよう(8/2-14:18)No.2780
 ┃┗┳Re:翻訳の過失とその責任-投稿者:天晴(8/2-16:23)No.2781
 ┃ ┗━Re:翻訳の過失とその責任-投稿者:たいよう(8/3-16:55)No.2785
 ┣┳RE: 翻訳の過失とその責任-投稿者:spice the cat(8/3-17:52)No.2786
 ┃┗┳Re:RE: 翻訳の過失とその責任-投稿者:フリー翻訳者(8/3-18:50)No.2787
 ┃ ┗┳Re:RE: 翻訳の過失とその責任-投稿者:たいよう(8/4-00:31)No.2792
 ┃  ┣┳Re:RE: 翻訳の過失とその責任-投稿者:天晴(8/4-01:53)No.2794
 ┃  ┃┗┳Re:RE: 翻訳の過失とその責任-投稿者:たいよう(8/4-09:18)No.2797
 ┃  ┃ ┗┳Re:RE: 翻訳ミスと損害賠償-投稿者:フリー翻訳者(8/4-10:49)No.2799
 ┃  ┃  ┗┳Re:RE: 翻訳ミスと損害賠償-投稿者:たいよう(8/4-13:46)No.2800
 ┃  ┃   ┗━Re:RE: 翻訳ミスと損害賠償-投稿者:フリー翻訳者(8/4-19:50)No.2801
 ┃  ┗━Re:RE: 翻訳の過失とその責任-投稿者:たいよう(8/4-10:22)No.2798
 ┣━Re:翻訳の過失とその責任-投稿者:藤岡 裕(8/7-19:37)No.2826
 ┣┳Re:翻訳の過失とその責任-投稿者:JK(8/8-20:03)No.2832
 ┃┗━Re:翻訳の過失とその責任-投稿者:藤岡 裕(8/9-07:56)No.2837
 ┗┳Re:翻訳の過失とその責任-投稿者:Anonymous A(8/9-15:33)No.2838
  ┗━Re:翻訳の過失とその責任-投稿者:藤岡 裕(8/9-17:14)No.2839


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翻訳の過失とその責任JK 27798/2-11:16

翻訳者として活動している者ですが、気になっている側面があります
ので、是非、みなさんに提示させていただきたい問題があります。翻訳
の過失とその責任についてです。
細心の注意を払って仕事に取組むのは当然であり、どんな仕事人でも
心掛けているある筈です。ところが、「人間である以上、誤りは付物」
と言われるように、他人、他社に多大な迷惑をかけてしまう場合があり
ます。その損失は内容や量によって大小に分かれ、医師であれば患者の
生死に関ったり、経営者が市場の動向を読み違えれば倒産に追い込まれ
たり、悲劇的な結末を迎えることとなるでしょう。
翻訳業界に置き換えると、いかがなものかと、最近、考えるようにな
りました。身近な例を申し上げます。労使間の民事裁判にて、原告側に
頼まれて訴訟関連の資料を、私は翻訳している最中です。つまり、外資
系企業ですから、裁判所に提出する際、全部日本語に訳する必要がある
のです。これは原告に限らず、被告となっている企業も同じなので、被
告も専属の翻訳者、または翻訳事務所のサービスを受けています。英語
の文書であれば、教養ある日本人なら訳文に頼らずに原文を読むことが
できるかもしれませんが、当事案ではマイナーな原語が使われています
。そこで、被告側の弁護士は企業の正当性を、企業が準備した訳文に基
づいて弁論を繰り広げたのです。ところが、公判回数がある程度重なっ
た後、それまで時間と労力を費やした時点で、原告が相手の訳文に決定
的なミスを発見しました。「今年度」を「昨年度」と入れ違えていて、
その一年が誤差が被告側の弁護士の主張を根底から崩しまいました。
ここで述べている「翻訳の過失とその責任」は、単なる誤訳、品質の
良し悪しではなくて、司法で認識されているところの「過失」(表現が
正しいでしょうか)について先輩方に助言をいただきたく存じます。ま
た、同僚等に、同じような経験や、悩みがあるとすれば、協議を呼びか
けたいと思います。過失が発生してしまった場合、どこまで責任を取ら
なければならないのか、または、取らされたのか。個人よりは法人化を
目指して、「無限責任」から「有限責任」の保護を求めるべきなのか。
様々なテーマが議論できる筈なので、みなさん、是非、個々のご意見を
お聞かせ下さい。

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Re:翻訳の過失とその責任たいよう 27808/2-14:18
 記事番号2779へのコメント

JKさんは No.2779「翻訳の過失とその責任」で書きました。

>ここで述べている「翻訳の過失とその責任」は、単なる誤訳、品質の
>良し悪しではなくて、司法で認識されているところの「過失」(表現が
>正しいでしょうか)について先輩方に助言をいただきたく存じます。

これは弁護士さんにご相談なさった方がよいのではないでしょうか。
以下は、あくまで私が個人的に、「こんなことになるんじゃないか」
と思っていることです。


過失は、結果責任(間違いがあったという結果だけで過失を認定される)
ではないと思います。具体的な事情が考慮されると思います。また、責任
(損害賠償)の範囲も無限に連鎖してはいかないと思います。

そして、「私(翻訳者側)だけ」に過失があったと認められた場合でも、翻訳
会社は免責されないと思います。

そして、それでも金額が大きければ、破産宣告(でよいのでしょうか?)
をします。






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Re:翻訳の過失とその責任天晴 27818/2-16:23
 記事番号2780へのコメント

プラントなんかに納入する機械には「故障の場合は本体に関わる範囲のみ
保証条項に従って無償交換致しますが、それ以外の責務は負いません」と言う
条件が付いています。

つまりその機械が止まってプラント全体が止まると、何百人もの工員が
遊んでしまい、お客さんにも納期通りに商品を納められないとなると
億単位の損害が出てしまいます。

しかし、その機械メーカーとしてはその機械が故障する事によって生じる
二次的な被害までは責任負えませんと言うのがこの業界のスタンダードなんですけ
ど、こう言う文言は立場が弱い翻訳者側は契約書に入れられないと言う事でしょう
か。


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Re:翻訳の過失とその責任たいよう 27858/3-16:55
 記事番号2781へのコメント

点晴さん、はじめまして。
もし、ご投稿が疑問形であられたならば、失礼にあたると存じ上げましたので。

>しかし、その機械メーカーとしてはその機械が故障する事によって生じる
>二次的な被害までは責任負えませんと言うのがこの業界のスタンダードなんですけ
>ど、こう言う文言は立場が弱い翻訳者側は契約書に入れられないと言う事でしょう
>か。

私の場合でございますが、契約書は今までそのままハンコを押して提出していました。
あくまでも「私の場合」ということでございます。「不可能」とは存じ上げません。
紛らわしい表現がございましたら、お許しくださいませ。


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RE: 翻訳の過失とその責任spice the cat 27868/3-17:52
 記事番号2779へのコメント


英国での場合ですと、翻訳者は「Professional Indeminity」という
職業免責保険に加入している人が多いと思います。

保険料の例としては、1件につき5千万円程度の保険で、
翻訳者の年間売上の1%程度になります。

翻訳会社も、同種の保険に加入しているのが普通です。

翻訳者の過失で、クライアントに損害を与えた場合、
翻訳会社経由の場合は、通常は翻訳会社が責任を負うことになっています。

(日本の翻訳会社では、契約時に免責事項があって、責任を翻訳者に
転嫁しているところがあるようですが。)

同僚から聞いた話ですが、実際

パンフレットの印刷後、誤訳がある事に気付き、それまで掛かった費用の支払いを
翻訳者が請求されたケースがあります。

この場合は、誤訳箇所が、どちらとも解釈できるように書かれていたため、
裁判で、第三者の翻訳者がそう証言して、結局、翻訳者の過失とはなりませんでした。


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Re:RE: 翻訳の過失とその責任フリー翻訳者 27878/3-18:50
 記事番号2786へのコメント

1)引用したケースについて、証拠資料の翻訳ミス(誤訳)されたので、準備書面の内容も、
  誤って記述されたということですか?事実関係を明示ください。
2)責任問題:翻訳者のケアレス・ミスもありますが、翻訳会社や弁護士も、当然、
  校閲する責任があります。クライアントも、弁護士を選任した責任があります。
3)損害賠償の問題:弁護士やクライアントの「うべかりし」利益、裁判費用、弁護士費用、
  などは、通常、翻訳者に請求することはありません。
  日本では、通常、弁護士ー翻訳エージェントー翻訳者間では、契約約款がありません。
  従って、翻訳者の受けるペナルティは、今後の取引停止だけで、最大限、譲っても、
  翻訳収入の返却でしょう。
4)日本でも、弁護士や医者は、Sさんの指摘どうり、MALPRACICEに対して、付保しているの 
  で、当面の実害はありません。
5)特許でも、外注翻訳者の誤訳で、弁理士と外国クライアントが敗訴した例がありますが、
  上記のペナルティだけで、収めた由。
以上、ご参考まで。  


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Re:RE: 翻訳の過失とその責任たいよう 27928/4-00:31
 記事番号2787へのコメント

フリー翻訳者さんは No.2787「Re:RE: 翻訳の過失とその責任」で書きました。
>3)損害賠償の問題:弁護士やクライアントの「うべかりし」利益、裁判費用、弁護士費用、
>  などは、通常、翻訳者に請求することはありません。
>  日本では、通常、弁護士ー翻訳エージェントー翻訳者間では、契約約款がありません。
>  従って、翻訳者の受けるペナルティは、今後の取引停止だけで、最大限、譲っても、
>  翻訳収入の返却でしょう。
>5)特許でも、外注翻訳者の誤訳で、弁理士と外国クライアントが敗訴した例がありますが、
>  上記のペナルティだけで、収めた由。

ここは大事な部分と思いますので、質問させてください。

JKさんのお書きになられたケースでは、JKさんは原告側の翻訳を
なされているわけですので、過失はなく、損害賠償も問題にはならないでしょう。

ただ、被告(A)敗訴が確定した後、被告側の翻訳者(C)については、後に被告(A)が別訴で
翻訳会社(B)に債務不履行または不法行為に基づく損害賠償請求をした場合に、
翻訳会社(B)が訴えを併合(当事者による訴えの主観的追加的併合)(求償訴訟を併合)すること
は十分にあり得ると思います。
当該訴訟では翻訳会社と翻訳者の過失が問題になると思いますが、翻訳者に過失があった場合、
当該訴訟で1000万円の損害賠償請求が認容されたとしたら、翻訳者はただでは済まないと
思います。翻訳会社からの求償ですから、この1000万円のうちの何割かを負担することになる
と思います。

翻訳者にどのような過失があっても翻訳収入の返還だけで済むのでしょうか。
大事な部分だと存じますので、質問させて頂きました。
失礼がありましたら、お許しください。
また、間違いがございましたら、ご容赦なくご指摘ください。


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Re:RE: 翻訳の過失とその責任天晴 27948/4-01:53
 記事番号2792へのコメント

要するに裁判で負けて賠償しないといけなくなった時、翻訳会社と翻訳者とで負担割合を
巡って新たな紛争が生じるって事ですね。

昨日まで勝訴を目指して共同で戦った相手と今度は負担割合を巡って戦うって言うのは
お互い言いたい事が有るからしょうがないと思いますが、普段からそう言うケースを
考えながら仕事を進めないと後で自分が裏切られかねないと言う事でしょう。

問題は受注する前にそれを契約文にどう入れ込ませるか?って事になると思いますが、
自前の契約書を持って行っても、殆どの場合は翻訳会社の契約書にサインさせられて
しかも内容は変えられないって場合が多いと思います。その壁をどう突破するか?
意見を聞きたいところです。


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Re:RE: 翻訳の過失とその責任たいよう 27978/4-09:18
 記事番号2794へのコメント

天晴さんは No.2794「Re:RE: 翻訳の過失とその責任」で書きました。

>問題は受注する前にそれを契約文にどう入れ込ませるか?って事になると思いますが、
>自前の契約書を持って行っても、殆どの場合は翻訳会社の契約書にサインさせられて
>しかも内容は変えられないって場合が多いと思います。その壁をどう突破するか?
>意見を聞きたいところです。

この種の問題は今に始まったものじゃないですよね。

http://trans.kato.gr.jp/bbs1/pslg1744.html

ここにありました。


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Re:RE: 翻訳ミスと損害賠償フリー翻訳者 27998/4-10:49
 記事番号2797へのコメント

皆さん、こんにちは。
私のレスは、飽くまでも、特許のケースで、関係者間で契約約款が無い場合について、私が、見聞し
た経験談をベースにしています。
翻訳会社からの損害賠償訴訟にどう対処するかという、仮定のご質問については、契約約款があるの
か、その内容は、公序良俗や優越者の立場の乱用から有効か?管理者の責任は?などの観点から、
客観的にレビューする必要があります。恐らく、その様な訴訟は、裁判所が、和解を勧めて、取り下
げ、又は、当事者間の示談におさまると推定します。翻訳者は、Deep-pocketではないので、常識て
きなレベルが決着点では?
なお、この種の議論は、具体的に、責任問題や契約約款などの前提条件をきちんと設定した上で、進
めてはと思います。


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Re:RE: 翻訳ミスと損害賠償たいよう 28008/4-13:46
 記事番号2799へのコメント

フリー翻訳者さん、こんにちは。レスをくださって有難うございます。
フリー翻訳者さんのような優秀な方とやりとりができるだけで光栄です。
ただ、私も泥仕合は好みません。また、時間がいくらあっても足りません。
最初で最後にしたいと思います。もともと無益な事ですから。

>翻訳会社からの損害賠償訴訟にどう対処するかという、仮定のご質問については、契約約款があるの
>か、その内容は、公序良俗や優越者の立場の乱用から有効か?管理者の責任は?などの観点から、
>客観的にレビューする必要があります。

これは訴訟係属後の話です。 前の投稿で問題にさせて頂いたのは、その前、訴え提起の段階の
話です(クライアントの訴えです)。つまり、訴訟物、具体的には、(1)不法行為に基づく請求権と
(2)債務不履行に基づく請求権です。これは次に続きます。

>損害賠償の問題:弁護士やクライアントの「うべかりし」利益、裁判費用、弁護士費用、などは、通常、
>翻訳者に請求することはありません。日本では、通常、弁護士ー翻訳エージェントー翻訳者間では、
>契約約款がありません。従って、翻訳者の受けるペナルティは、今後の取引停止だけで、最大限、
>譲っても、翻訳収入の返却でしょう。

これを拝見すると、(2)をお考えになっているんだなあと思えるわけです。下で引用させていただいた
http://trans.kato.gr.jp/bbs1/pslg1744.html 「誤訳が原因でクライアントまたは第三者に損害を与えた
場合、民法上は、誤訳と損害の間に因果関係がある限り、翻訳者にも責任があると思います」は(1)です。
訴訟物の話です。

>特許でも、外注翻訳者の誤訳で、弁理士と外国クライアントが敗訴した例がありますが、上記のペナルティ
>だけで、収めた由。

これは別訴でも必ずペナルティーになるとは限らないです。

>恐らく、その様な訴訟は、裁判所が、和解を勧めて、取り下げ、又は、当事者間の示談におさまる
>と推定します。翻訳者は、Deep-pocketではないので、常識てきなレベルが決着点では?

仰る通りです。でも、翻訳収入の返却では済まないです。

私はたいした能力もありませんから、普段からしょっちゅう間違っています。
フリー翻訳者さんは優秀な方ですから非常に少ないでしょうが、それでも人間ですから間違う事もおありでし
ょう。
どうして言い切ってしまわれるのでしょうか? フリー翻訳者さんのような優秀な方の発言は影響力がありま
すよ。それだけの責任があるのではないでしょうか。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。




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Re:RE: 翻訳ミスと損害賠償フリー翻訳者 28018/4-19:50
 記事番号2800へのコメント

たいようさん早速のレスを戴き感謝します。
序での時、翻訳ミスによる不法行為と債務不履行の判例を調べてみます。
ただ、医療ミスと同じく、表沙汰を嫌う国民性ですから、余り期待は持てませんが。
余談ですが、イタリア語通訳の田丸女史のエッセイ「パーネ・アモーレ」に、ジョークとしとして、「日本も訴訟社会に
なるので、通訳損保を作って、通訳者の格付けに回りたい」とありました。(笑い)
頑張って下さい。


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Re:RE: 翻訳の過失とその責任たいよう 27988/4-10:22
 記事番号2792へのコメント

>大事な部分だと存じますので、質問させて頂きました。

自分で調査すれば済むことですね。
不法行為責任の成立などについて判例も含めて調査し、
またいつか書き込みさせて頂くかもしれません。

失礼しました。


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Re:翻訳の過失とその責任藤岡 裕 28268/7-19:37
 記事番号2779へのコメント

このスレッドの記事を拝見していて思ったことは、コンピュータのソフ
ト分野ではバグは損害賠償の対象とならないということと、英語の原文
にも誤字や脱字の類いがかなりあることですね。

誤訳に対する損害賠償責任が翻訳者にあるとしたら、誤字・脱字だらけ
の英文の場合はどうなるかとか...。

欧米の翻訳者が誤訳が原因で損害賠償を余儀なくされるケースがあると
したら、親戚関係にある言語間の翻訳はかなり容易だという点がマイナ
スに作用している可能性もありますね。

日本で実際に翻訳者が損害賠償をさせられたケースってのは、どなたか
のメッセージにありましたっけか...。




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Re:翻訳の過失とその責任JK 28328/8-20:03
 記事番号2779へのコメント

皆様のご意見を拝見させていただき、ありがとうございました。
十数年前から日本で生活している、外国生まれの私ですが、皆様のご意見
を通じて印象的だったのは訴訟に対する認識です。誤訳の責任は翻訳者に
あっても、クライアントとの対応は翻訳事務所の役割になっているのが普
通だそうですね。また、どうやら、誤訳によって翻訳者が多額の損害賠償
金を支払った事例がないようですね。アメリカのような訴訟社会とは違っ
て、正に争いごとを嫌う日本人の国民性がよく象徴されているように見受
けられました。
ただし、それにしても、すっきりしません。ミスは誰でも起こしますので
、報酬や成績だけがプロフェショナルを構成するのではなく、失敗に対す
る姿勢こそ大事ではないでしょうか。今まで翻訳事務所、クライアント(
翻訳事務所を介さない直接取引き)から損害請求がなくても、これは相手
の意思によるものですから、この先、請求されないという保証はどこにも
ありません。
損保代理店の知り合いに聞いてみたところ、弁護士、司法書士、行政書士
などは、各協会を通じて団体保険に加入していると教えてくれました。万
一に備えてのことでしょう。(翻訳業界について説明しまして、その知り
合いにどんな解決策があるのか、調べてもらっています。)
私が一番最初のメールで申し上げた訴訟事案は、現在、公判中です。です
から、どのように相手側の誤訳が影響するのかは、まだ分かりませんが、
興味津々です。
何れにせよ、このホームページをご覧になっている方で、その他のご意見あ
れば、どうかお聞かせ下さい。





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Re:翻訳の過失とその責任藤岡 裕 URL28378/9-07:56
 記事番号2832へのコメント

JKさんは No.2832「Re:翻訳の過失とその責任」で書きました。

>十数年前から日本で生活している、外国生まれの私ですが、皆様のご意見
>を通じて印象的だったのは訴訟に対する認識です。誤訳の責任は翻訳者に
>あっても、クライアントとの対応は翻訳事務所の役割になっているのが普
>通だそうですね。また、どうやら、誤訳によって翻訳者が多額の損害賠償
>金を支払った事例がないようですね。アメリカのような訴訟社会とは違っ
>て、正に争いごとを嫌う日本人の国民性がよく象徴されているように見受
>けられました。

このような場合に限らず過去の判例が判断の基準になりますから、翻訳者に
巨額の賠償金の支払いが命ぜられるケースは日本では考えにくいように思い
ますね。

翻訳者側の防衛策としては、法律の絡みそうな文書は極力辞退する、専門分
野外の文書の翻訳はなるべく受けない、意味の不明瞭な箇所などはその旨訳
文に但し書きを付ける、誤字・脱字や文法的なミスの多い文書と気付いと場
合はその旨明確に指摘する、重要文書の翻訳料金はせいぜい高めに設定す
る、文書の使用目的について確認する、などが挙げられますか...。

それにしても、誤訳うんぬんの前に、地方で出てくる日本語の実務文書には
原稿の体裁を成していないものが大部分だということを指摘しておきたいで
すね。原稿よりもわかりやすくて正確な訳文、これがわたくしのモットーで
もありますが...。


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Re:翻訳の過失とその責任Anonymous A 28388/9-15:33
 記事番号2779へのコメント

翻訳会社を通しての請負の場合、誤訳の責任が翻訳者にどこまで及ぶかと
いうことですよね。

「翻訳物が適正なものとして受け取られ、その旨通知された場合には翻訳
請負契約の債務履行が終了する」と明記されていれば、「翻訳作業として
の債務が終了し、すべての責任から解放される」と考えたくなりますが、
訴訟に発展した場合には翻訳者としての責任を問われないとはかぎらない
という心構えでいた方がよいでしょうね。

藤岡さんがおっしゃる、普段から専門分野外はなるべく受けない、意味不
明瞭な箇所、誤字・脱字、文法ミスなどを指摘する、などの姿勢は訴訟に
対する防衛策となると同時に、原文不備が原因して翻訳能力を疑われるよ
うな事態を避ける手段にもなりますね。

誤訳に関してではありませんが、皆さんにぜひ警鐘したいことがありま
す。

翻訳会社の中には、契約書で「情報の漏洩があった場合には翻訳者は翻訳
会社に直ちに〜百万円(そこそこの翻訳者の年収にも匹敵する巨額)の賠償
金を支払う」としているところがあります。情報の守秘は翻訳者の基本で
すが、これは翻訳会社側の恐ろしいまでの一方的な主張ではないでしょう
か。漏洩に関わる損害賠償の責の範囲額というのならいざ知らず。

また、翻訳者に住民票、写真などと共に契約書の提出を求め、翻訳者には
契約書を渡さず、会社側で両方とも保管する形にしているところもありま
す。これなど、いざ何か翻訳会社側に不都合なことが起きた場合、契約書
は握りつぶされる可能性があるかもしれません。翻訳者がコピーをとって
おけば効力は同じだと考えられるでしょうか?

一方的であるという理由でこのような契約を一切拒否するか、あるいは翻
訳者側の権利も盛り込んだ契約を交わして仕事を得ている産業翻訳者も中
にはいるだろうと想像します。ビジネスの世界はしょせん実力ですから。


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Re:翻訳の過失とその責任藤岡 裕 URL28398/9-17:14
 記事番号2838へのコメント

Anonymous Aさんは No.2838「Re:翻訳の過失とその責任」で書きました。

>翻訳会社を通しての請負の場合、誤訳の責任が翻訳者にどこまで及ぶかと
>いうことですよね。

エージェントを通さない場合も基本的には同じでしょうね。

>翻訳会社の中には、契約書で「情報の漏洩があった場合には翻訳者は翻訳
>会社に直ちに〜百万円(そこそこの翻訳者の年収にも匹敵する巨額)の賠償
>金を支払う」としているところがあります。情報の守秘は翻訳者の基本で
>すが、これは翻訳会社側の恐ろしいまでの一方的な主張ではないでしょう
>か。漏洩に関わる損害賠償の責の範囲額というのならいざ知らず。

このようなエージェントとは絶対に契約すべきではないでしょう。まさに
一方的な金額の決め方ですね。

>また、翻訳者に住民票、写真などと共に契約書の提出を求め、翻訳者には
>契約書を渡さず、会社側で両方とも保管する形にしているところもありま
>す。これなど、いざ何か翻訳会社側に不都合なことが起きた場合、契約書
>は握りつぶされる可能性があるかもしれません。翻訳者がコピーをとって
>おけば効力は同じだと考えられるでしょうか?

コピーではやはりまずいでしょうから、このようなエージェントも相手に
しない方がよいと思いますね。