(その2)
We concede that if you hang around your local ballet school or
dance studio, at first glance, it probably will seem to be
filled with long-legged, lean-limbed adolescents, with tight
little hair buns, stern little faces, and rumpled leg warmers
around their ankles. But ... chances are ___the 23-year-old___
stretching on the floor isn't a budding ballerina but a law
student who finds beginning ballet a relaxing break from her
books. As for the thirty-something woman at the barre, very
likely she's a new mother who's thrilled with the stronger,
firmer, more flexible body she has developed since she began
classes.
http://tinyurl.com/629dem
ここでの "23-year-old stretching on the floor" に the がついて
います。これは初出の名詞であるはずです。それなのに the がついて
いるのは、「その23歳の人を見た瞬間にはその人は特定のものだっ
た」などという理由で特定されているのではないはずです。「あなた
は(たとえば)23歳の女性が床の上でストレッチしている姿を見たか
もしれない。その23歳の女性は、実はバレリーナになろうとしている
プロ志向の人ではなく、法学を勉強する学生かもしれない」と言って
いるわけです。
このような定冠詞の使い方は、僕らにとってかなり難しく、こういう
英文を書くときには、僕ならば a という不定冠詞をつけて "a 23-
year-old" と書いてしまいます。でももし a という不定冠詞をつける
と、この文章は書き換えないといけなくなるはずです。つまり
(1) But ... chances are ___a 23-year-old___ stretching on the
floor isn't a budding ballerina but a law student who finds
beginning ballet a relaxing break from her books.
というふうに、単に the を a に変えただけでは文章は成立しないの
ではないかと思います。これは、次のようにでも書き換えないと仕方
がなくなるような気がします。
(2) You may also see, for example, a 23-year-old stretching on
the floor. But... chances are she isn't a budding ballerina
but a law student who finds beginning ballet a relaxing break
from her books.
つまり、僕が試験的に書いてみたこの (2) の例では、まずはきちん
と "a 23-year-old" という名詞が初出のものとして出てきていて、そ
のあとにそれを she で(つまり "the 23-year-old" として)受けて
いるのです。そして、アマゾンの書評にある英文においては、このよ
うなプロセスを省略して、いきなり "the 23-year-old" と書いている
のです。
以上のようなことを、つい今さっき出っくわした例文を見ながら考え
てみました。これについては教養あるネイティブに相談したわけでも
なく、言語学者に相談したわけでもなく、日本語ネイティブである素
人の私の愚見でしかありませんが、おそらく当たっているのではない
かと思いますが、いかがでしょうか。(終わり)