Re:状況により特定される場合(その3) | TAKIN | 10765 | 7/10-09:36 |
記事番号10763へのコメント (「その2」に関係した内容ですが、話題の流れ上「その3」への
コメントとします。) 結局は同じことになるのかもしれませんが、ここで「いきなり the を使う」のは、何かの手順を省略したというよりも、「臨場 感のある情景を提示する」ための文章技巧だと私は理解しました。 "The 23-year-old..." と書けば、その23歳の女性は既に「特定さ れている」、ということは、読者も実際にその場に居合わせて、 著者が「床でストレッチしているあの子は・・・」「バーにつかま っているあのおばさんは・・・」と指差しながら話すのを聞く感じに なります(「あの」=the)。著者はここで単に例を挙げる代わり に、それ以上に具体的な一つの情景を示しているわけです。 ついでながら「初出だから a」を適用したときの書き換えの必要 性は南都さんの言われるとおりだと思いますが、その理由が(ご 承知の上でしょうが)十分説明されていない気がします。私見で は、23-year-old stretching on the floor という句は、 stretching on the floor という修飾句による限定が強すぎて、 更に不定冠詞をつけるのは不自然に思われます。南都さんの書き 換え案では stretching は see の補語であって主語を修飾しては いないので、この問題はなくなります。 私は仕事以外の英文はろくに読んでいないヘタレ翻訳者ですので、 誤解もあろうかと思います。ご指摘ください。 |
Re:状況により特定される場合の the | おぺら | 10764 | 7/9-19:22 |
記事番号10761へのコメント 厳しいご批判受けとめました。
こちらに伺うのも今日で最後といたします。 ありがとうございました。 |
状況により特定される場合(その3) | 南都隆幸 email Web | 10763 | 7/9-15:16 |
記事番号10762へのコメント その2からの続き
(その3) 先ほどは見落としていましたが、すでに挙げたアマゾンでの書評の文 章の後半でも、初出であると思われる名詞に the がついています。 As for ___the thirty-something woman___ at the barre, very likely she's a new mother who's thrilled with the stronger, firmer, more flexible body she has developed since she began classes. やはりここでも、すでに出てきた前半の "the 23-year-old" と同じよ うな理由で、the がついているのだと私は思います。 |
状況により特定される場合(その2) | 南都隆幸 email Web | 10762 | 7/9-09:57 |
記事番号10761へのコメント (その2)
We concede that if you hang around your local ballet school or dance studio, at first glance, it probably will seem to be filled with long-legged, lean-limbed adolescents, with tight little hair buns, stern little faces, and rumpled leg warmers around their ankles. But ... chances are ___the 23-year-old___ stretching on the floor isn't a budding ballerina but a law student who finds beginning ballet a relaxing break from her books. As for the thirty-something woman at the barre, very likely she's a new mother who's thrilled with the stronger, firmer, more flexible body she has developed since she began classes. http://tinyurl.com/629dem ここでの "23-year-old stretching on the floor" に the がついて います。これは初出の名詞であるはずです。それなのに the がついて いるのは、「その23歳の人を見た瞬間にはその人は特定のものだっ た」などという理由で特定されているのではないはずです。「あなた は(たとえば)23歳の女性が床の上でストレッチしている姿を見たか もしれない。その23歳の女性は、実はバレリーナになろうとしている プロ志向の人ではなく、法学を勉強する学生かもしれない」と言って いるわけです。 このような定冠詞の使い方は、僕らにとってかなり難しく、こういう 英文を書くときには、僕ならば a という不定冠詞をつけて "a 23- year-old" と書いてしまいます。でももし a という不定冠詞をつける と、この文章は書き換えないといけなくなるはずです。つまり (1) But ... chances are ___a 23-year-old___ stretching on the floor isn't a budding ballerina but a law student who finds beginning ballet a relaxing break from her books. というふうに、単に the を a に変えただけでは文章は成立しないの ではないかと思います。これは、次のようにでも書き換えないと仕方 がなくなるような気がします。 (2) You may also see, for example, a 23-year-old stretching on the floor. But... chances are she isn't a budding ballerina but a law student who finds beginning ballet a relaxing break from her books. つまり、僕が試験的に書いてみたこの (2) の例では、まずはきちん と "a 23-year-old" という名詞が初出のものとして出てきていて、そ のあとにそれを she で(つまり "the 23-year-old" として)受けて いるのです。そして、アマゾンの書評にある英文においては、このよ うなプロセスを省略して、いきなり "the 23-year-old" と書いている のです。 以上のようなことを、つい今さっき出っくわした例文を見ながら考え てみました。これについては教養あるネイティブに相談したわけでも なく、言語学者に相談したわけでもなく、日本語ネイティブである素 人の私の愚見でしかありませんが、おそらく当たっているのではない かと思いますが、いかがでしょうか。(終わり) |
状況により特定される場合の the | 南都隆幸 email Web | 10761 | 7/9-09:56 |
記事番号10757へのコメント もしも翻訳の「プロ」だという大それたことを言うのなら、法学・経
済学・科学技術などの専門分野か、あるいは日本語・英語などの外国 語かのいずれか(できればその両方)において、妥協のない徹底した 探究心がないといけないと思います。素人ならともかく、プロ意識に 徹したいなどと公言した人は、やはり、たとえば今回のような冠詞の 問題についても、「日本語についてさえ説明できないことがあるのだ から、ましてや外国語である英語の冠詞の微妙な使い分けについて は、納得できなくても無理はない」などという甘いことを言っていて はなりません。 テニスや野球では、素振りをうんざりするほどやったあとに実際にゲ ームをしたり試合をします。同じように、英文を読んだり書いたりす るには、そのための素振りとして、英文を思いっきり読まないといけ ません。ほんの数千ページでもいいからまとまった英文を読めば(た とえばペーパーバックの小説などをほんの数十冊でも読めば)、大量 の冠詞の用例が頭にストックされていきます。(本当は「数十冊」程 度ではとても足りないと思いますが、ここでは百歩譲って「数十冊」 としておきます。)その上で考えれば、言語学者じゃなくても、それ なりの冠詞の使い方が見えてくるはずです。 というわけで、今日も一つだけ例文を紹介します。今さっきアマゾン のサイトで見つけた文章です。初出だと思える名詞に the がついてい るところに注意してください。該当箇所には、アンダースコア (つま り _ という印)をつけておきます。(その2に続く) |
Re:おぺらさんへ | おぺら | 10760 | 7/8-10:37 |
記事番号10739へのコメント 返信遅くなりましてすみません。
専業翻訳者の方以外は、なかなか書き込みが厳しい時間設定なので… 南都さんの疑問本当に最もですが、私には「ネイティブが特定の状況で 特定の文章を読んで、(theではなく)aを使うことに違和感を感じたの だろう」とお答えするしかありません。 日本語でも、私にもよくあります。これはなんでAで、Bじゃないの。と 日本語のノンネイティブスピーカーに質問されて、どうにも説明つかな いことが…。言語学者とかなら論理的に説明できるのかも? ということで、答になっておりませんがご容赦ください。 |
ありがとうございます。 | ようこ | 10759 | 7/7-20:26 |
記事番号10740へのコメント 下請法を読んでみました、公正取引法のページから苦情を申請出来るよ
う です。 実は、金額は2万円程度で本当に少ないです。 額が少ないだけに、9月30日まで待たずに大騒ぎするのもみっともな い 気持ちもあります。 が、回収ダメ元で、直接、公正取引委員会に苦情をとも考えています。 なぜなら、たとえ、まともな会社だったとしても、ここのコーディネー タ は最初から口の悪い人だったので、将来、取引したくないし、相手の立 場 になって考えて、まず、コーディネータに予告、それから、会社、そし て 社長などと言う、甘ちょろい手順を踏むなんて時間の無駄をしたくない の で。 手順を踏んでいるうちに2か月がたって、気がついたら振込日になりか ね ないし、払う気があるなら9月30日に振込があるだろうし、最初から 払 う気がなければ、手順を踏んでも同じのような気がするからです。 でも、後3日、考えてみます。 もう少し、頭が冷えてから行動しま す。 |
まあなんとか納品 | Superluminal Web | 10758 | 7/7-18:10 |
記事番号10753へのコメント たけだ様
レーザーの安全基準 国際的には、IEC 60825-1 Safety of laser products Laser Aperture Caution Label は使わせていただきました。 ありがとうございました。 土日休みなしでした。 今日はお休みです。 明日からまた次がきます。 またよろしくお願いします。 |
「付き物」の名詞なら the (その2) | 南都隆幸 email Web | 10757 | 7/7-10:26 |
記事番号10756へのコメント (その1からの続き)
再び、ロングマンの backhand についての定義文に戻りますが、そこ でのテニスの解説文では your ball とせずに the ball としてあった のは、他人のボールであろうが自分のボールであろうが、ともかくボ ールでさえあればよくて、どんなボールであってもそういうふうな打 ち方をすれば backhand になってしまうわけだから、"your ball" と はしないで "the ball" としたのでしょう。 次に、"a ball" とはしないで "the ball" としたのはなぜか?僕が思 うには、テニスにはボールが付き物です。読者は、テニスの話になれ ばボールが必ず出て来ると思っている。そういうふうな「付き物」で あるような名詞には the がつきやすいのだと思います。 慣用表現(熟語みたいな表現)の中に出て来る名詞には、最初は a が ついていたのに、長い年月を経るあいだに a が the に変わり、つい にはその the も消えてしまうのと同じだと思います。慣用表現の中に 出て来る名詞は、その表現の中では「付き物」なので、a から the に 変化しやすく、そのあとには the が消えてしまって無冠詞になってし まうのです。(そのような慣用表現の例をお目に掛けたいのですが、 今は思いつきません。) テニスやゴルフや野球におけるボールの話をしているときには、その ボールはそのスポーツにおいては「付き物」だから、「初出のボー ル」であっても "the ball" になることが多いだろうと僕は想像しま す。でも、たとえば演劇においてボールを使うというような解説文に おいては、どうでしょうか?僕が想像するには、たとえば 「演劇は〜〜〜というようなものである。したがって、たとえば役者 が舞台においてボールを〜〜したときには、〜〜〜というような効果 をもたらすことができる」 というような解説文を考えて見ます。そういうふうなとき、演劇にお いてはボールは付き物ではありません。そういうときには、「初出の ボール」は "the ball" であってはなりません。あくまで "a ball" でないとおかしいと僕は思います。 もしも僕の考え違いがあれば、どうぞご指摘ください。(おわり) |
「付き物」の名詞なら the をつける(その1) | 南都隆幸 email Web | 10756 | 7/7-10:25 |
t.t. さんが 7月6日に No. 10754 のコメントとして、次のような文章
を引用されました。 <引用はじめ> ロングマンのCD辞書 backhand --- a way of hitting ___the ball___ in tennis and some other games in which the back of your hand is turned in the direction of the ball when you hit it <引用おわり> このコメントが下の方に追いやられてしまってわかりづらいので、僭 越ながら新しいスレッドを立てさせて頂きます。 上に引用された定義文では、 "the ball" は「ボールを打った瞬間に はそのボールは特定されている」というわけではないと僕は思いま す。ここでの the は、「ボール」という存在を抽象化する働きをして いるはずです。僕が読んだ数冊の冠詞についての本でもそのように扱 っていたように思うのですが、定かではありません。あとでもしその ような解説文を見つけたら、ご紹介します。 「ボールの存在を抽象化するための the」だなんて、こじつけか禅問 答みたいに聞こえるかもしれませんが、そんなつもりはありません。 ここで「ボールを打つ」と言っているとき、具体的な一つのボールと いうよりも、テニスではボールが出てくるのが当たり前になっている ので、具体的な一つのボールという意味での "a ball" ではなく、テ ニスではいつも出て来る、半ば抽象的な存在となってしまった "the ball" というわけです。 このように「テニスにおけるボール」を抽象的なもの (the ball) と して捉えるか具体的なもの (a ball) として捉えるかは、筆者によっ て変わってくるみたいだ、というふうに今の僕は感じています。 テニスではなくてゴルフの場合にもボールはつきものですが、今度 は、最初にボールが出てくるときに "your ball" と書いていて、二回 目にそのボールが出てくるときに "the ball" としているケースをお 見せします。 The Bunker Shot (この記事のタイトル) (前略) The key trick is to stay calm. Don’t panic when faced with a bunker shot. If you find ___your ball___ plugged or against the face in a fairway bunker apply some sense to the shot. We all love to hit incredible bunker shots but that is not always possible. Sometimes you just need to get out of the trap. If you are facing a short bunker shot the key rule is to always hit the sand before ___the ball___. Hitting the sand between one and two inches before ___the ball___ will ensure the best results. But don’t bother about this rule for longer fairway bunker shots. Taking sand before the ball will just reduce your power. More than any other shot you will play the bunker shot requires you to concentrate on the way you address ___the ball___. Because the bunker shot will rely more on your wrists than the rest of your body you must address ___the ball___ in a way that will allow your body to stay as still as possible. http://golfswingreviews.com/the-bunker-shot.html 上の例に最初に出て来る "your ball" を、もしも "a ball" としたら どうなるか?"a ball" とは「どこにある、どのボールでもいいから、 ともかく一個のボール」という意味になります。つまり "any ball that you happen to find" という意味合いが "a ball" という言葉に 含まれていると思います。もしこのような "a ball" を "your ball" の代わりに入れてしまうと、「自分の打つべきボール(自分の打った ボール)じゃなくてもよくて、他人の打ったボールでもかまわない」 ということになってしまいます。 ここではあくまで「自分のボール」でないと話の辻褄が合いません。 だからこそ、"a ball" ではなく、"your ball" としているのだと思い ます。さらには、筆者はここで "the ball" とはせずに "your ball" とすることによって、抽象的な "the ball" ではなくて、読者自身の ボールという言い方をすることによって、よりパーソナルな語感を持 たせているのではないかという気がします。(違ってたりして。) (その2に続く) |