翻訳学校との上手な付き合い方

翻訳スクールとの上手なつきあい方

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講座を選ぶ

ある調査によると(2000年現在)日本国内だけで翻訳講座が300種類以上あるとか。その中から自分にあう講座を選びましょう。大切なのは途中で投げ出さずに目的達成まで続けられるかどうかです。通学に長時間かかる学校や、講義の開始時間に間に合わないような講座は避けるべきです。通学講座の場合は、開講に先だって開催される体験レッスンや公開セミナーなどの機会を積極的に利用するのも賢明な方法です。

スクールのシステムもチェックしておきましょう。開講回数や講義時間に対して適切な料金が設定されているか、受講を開始してから講座を変更する必要に迫られた場合に受け付けてもらえるかどうかは大切なチェック項目です。また、講座修了後のアフターサービス(仕事紹介、トライアル機会など)の充実度も気になるところですので、あらかじめ確認しておきましょう。

通信コース(郵便・宅配便)

マイペースで学習できる、忙しい時期は中断できる、比較的低価格で受講できる、細かい部分まで添削してもらえる、などのメリットがあります。最近は受講後に厚労省の助成金を受けられる講座もあります。

通学コース

通信教育に比べた場合の特長として、学習仲間の存在が励みになり続けやすい、自分の現在の実力を客観的(または相対的)につかみやすい、疑問点をその場で質問できる、などがあげられます。また、受講中に親しくなったクラスメートや講師が後に貴重な人脈に発展することもあります。ただし、通学コースでは、カリキュラムや教材の内容が担当講師に一任されているケースが多く、同じ学校でも講師によって指導スタイルが違うことが珍しくありません。通学制の翻訳学校の実態は、講師それぞれの私塾の集まりだという見方もあります。

ネット講座

ネットを利用した翻訳講座や勉強会が続々と登場しています。まだノウハウが確立しておらず、主催する側も試行錯誤の段階というところが多いようです。それでも、近い将来、翻訳講座の主流になると期待されています。

初期には、運営メディアとして掲示板(BBS)やメーリングリスト(ML)が利用されていました。現在は様々な方式のEラーニング講座が有力視されています。受講する側も、これらのメディアにある程度慣れていることが前提となります。ストリーミングによる動画配信も登場しています。将来、ビデオチャットによるリアルタイム講義が実現するかもしれません。

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受講中の心がまえ

受講を開始してからも、学校から与えられる課題を漫然とこなしているだけで満足していてはいけません。主体性を持って自主的に学習する姿勢が大切です。翻訳講座は学習のペースメーカーだと考えておいた方がいいでしょう。学校側で成績優秀者に仕事の機会を与えると公約している場合でも、ある日突然仕事が与えられるのを漫然と待っているだけでは、ほとんど進展はありません。学校の紹介システムだけに頼るのではなく、自ら積極的に求職活動を始めましょう。仕事の見つけ方について講師にアドバイスを求めるのもいいでしょう。

はっきりとした目的意識(フリーのプロになる...など)を持ち、具体的な目標(翻訳の検定試験に合格する、1年以内にトライアルに挑戦する...など)を定めて学習計画を立ててみましょう。

講師のご機嫌をとったり、媚びを売ったりする必要は全くありませんが、授業の進行に協力的で、高い意欲の感じられる受講生には講師も好感を持つものです。お互いに気持ちよく時間を過ごせるように心がけましょう。

受講して成功する人、挫折する人

伸びる受講生の条件として、翻訳学校の講師にアンケートをとると、「自分の能力を客観的に把握できる」という回答が一番多いそうです。つまり、自分の得手不得手や技能レベルを客観的に分析でき、不得意な部分があることを冷静に受け入れて、改善のために適切な努力を続けられる人は成功する確率が高いというわけです。たとえば、英語が得意な人を例にあげると、好きな英語の勉強に関しては比較的熱心に取り組みますが、本当に努力が必要な苦手な部分(専門知識や文章力など)の補強を怠ってしまう傾向があります。これでは翻訳者に必要とされる技能がバランス良く身に付くはずはありません。

逆に、講座を受講しても「伸び悩む人、途中で挫折してしまう人」という設問に対しては、「プロになるという目的意識が希薄」、「翻訳という職業に対する認識があまい」などが回答の上位にあげられます。

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支払う料金に見合った「効果」が期待できるか

消費者という立場で、料金に見合ったサービスを期待するという意識が強い人は、そのような「効果」はおそらく望めないでしょう。また、翻訳学校はホストクラブではありません。根拠もないのに「チヤホヤして私の自尊心を満足させて!」というような要求には応えられません。(もちろん、優秀な訳文を褒め称えたり、努力している受講者を励ましたりすることはあります)。

学習するのは自分自身である。学校には、学習の指針や勉強仲間、刺激、モチベーションを求める。学校に通うことで自分の適性を見極め、現在の職業や人生設計について深く考えてみたい、というような考え方ができれば、将来、仮に翻訳の道に進まないことになっても、きっと有意義な経験になることでしょう。実際、社会人になってから通う翻訳学校は、様々な人生観や職業を持つ人達と机を並べて学べることが大きな魅力のひとつです。

受講中の通学講座(講師)がどうしても自分に合わないと感じたら

a. レベルが合わない

クラスメートと自分とにレベル差があって、自分にとって易しすぎて物足りない、または難しすぎてついていけない場合です。ミスプレースメント(不適切なレベル分け)の可能性もありますので、講師または学校事務局に相談してみましょう。レベル分け(プレースメント)のない学校では受講者間である程度のレベル差があるのはやむを得ません。

b.講義の進め方や指導方法が自分の期待しているものと違う。

学校や担当講師によって、それぞれ独自の指導スタイルがあります。どうしてもなじめない場合は、学校事務局や講師に相談してみてもいいでしょう。指導の意図や方針について十分な説明を受ければ納得できるかもしれませんし、授業の進め方についての希望を多少考慮してもらえるかもしれません。いずれにしろ、見学や公開セミナー等の機会を利用して事前に確認しておけば間違いがないはずです。

c. どうも講師やクラスが好きになれない。

翻訳学校に限らず、新しい人間関係に慣れるまでには時間がかかるものです。早急に結論を出さずに、しばらく様子をみましょう。時間が経っても状況がかわらないときは、多少なりとも自分の心の中に講師に対する信頼感があるのなら、思い切って講師に相談してみるという手もあります。心を開いて話をすれば、わだかまりが解けて相手の良いところが見えてくるかもしれません。もちろん、微妙な内容になるので、他の受講生の耳に入らないような時と場所を選ぶ必要があります。たとえば、講師やクラスメートのあら探しばかりしていたり、物事を否定的に考えたりするようになっていませんか? 自分の心の中を冷静に見つめてみましょう。

どうしても講師の指導スタイルが自分にあわないと感じるときは、学校事務局に相談してみるのもいいでしょう。きちんと事情を話せば、何からの方法で講座を変更してもらえるかもしれません。

当たり前のことですが、受講生には講座の進行に協力する義務があります。自分がその講座を気に入らないからといって、他の人も自分と同じ意見だとは限りません。協調性のない我が儘な受講生は、講師に嫌われるばかりでなく、他の受講生の迷惑にもなります。(悪質な場合は妨害行為とみなされます)

クーリングオフ制度について

翻訳スクールも語学学校の一種になりますので、法律によりクーリングオフ制度や中途解約制度が適用されます。授業料を全額前納して受講を始めてからでも解約を申し出れば、中途で受講を中止して、常識的な範囲内で以後の授業料相当分を返金してもらえます。(返してもらえない場合は、国民生活センターに相談しましょう)。

ただし、気を付けなければならないのは、いったん始めたことを途中で止めてしまうと、人生の貴重な時間が無駄になるばかりでなく(我慢してそのまま続けた方が無駄だと思うようなら仕方がありませんが)、挫折体験となって自分の心に傷が付くことです。100%自分の希望を満たしてくれる講座などはありえませんので、冷静に状況を判断してください。

翻訳講座にやけに詳しい人の話はあてにならない

講座について詳しく知りたいときには、実際にその講座を受講した人の話が参考になります。講義の進め方、課題の量、講師の経歴や人柄などについて聞いてみるのもいいでしょう。ただし、気を付けなければならないのは、講座の善し悪しに関する意見は一受講者の立場からの主観的な感想に過ぎないという点です。人によって意見が食い違うことも珍しくありません。

また、何年も翻訳の勉強を続けていて、受講した講座の数が多く、いろいろな講座に詳しい人の話もあまり参考になりません。本来なら、一刻も早く翻訳学習者の立場を終えて実務に就き、現場でスキルアップしていくのが正しい道筋です。いつまで経っても受講生をやっているような人は良いお手本とは言えません。その点では、翻訳講座の受講を経てプロになった人の話が最も信頼できるはずです。

翻訳講座の受講生を長く続けていると陥りやすい心の闇

前述のように講座を慎重に選ぶことは大切ですが、いろいろな講座を物色したり受講したりしているうちに、悪い意味でスクールずれしてしまってはいけません。お金を払って翻訳の勉強をさせてもらう状態が長く続くと、プライドばかりが高くなってしまい、等身大の自分の姿を見失ってしまうケースがあります。中には、少しでも気に入らないことがあると、学校や講師のせいにして、自分の心の問題に気が付かない人もいるようです。講師も人間ですから、感じの悪い受講生には冷たい態度で接してしまうことがあるかもしれません。このような状態になってしまうと、結局、自分が損をすることになります。

優秀な成績を修めたら本当に仕事の機会が得られるのか

実績のある有名翻訳学校では、(成績優秀の)未経験者にも仕事の機会を提供する努力をしているのは事実のようです。ただし、実力が実務レベルに達していない人に仕事の機会を与えるのは、常識的に考えて無理があります。必然的に、機会に恵まれるのは成績優秀者だけということになります。長く受講を続けていれば誰でも必ず仕事がもらえるというわけではありません。良心的な学校なら、問い合わせれば、過去の実績について具体的に教えてくれるかもしれません。

自分で選んだ講座なのですから、学校や講師を信頼して最後までやり遂げましょう。しっかりした学習プランを立てて主体的に学習し、できれば早めに卒業しましょう。翻訳スクールとは上手に付き合ってください。

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