IT(情報技術)翻訳
コンピュータ、通信、ネットワークなどの情報技術分野が対象。特に
ソフトウェアの
ローカライズがらみで潤沢な翻訳需要がある。比較的参入が容易であるため翻訳志望者の間で人気が高く、SEやプログラマーから転身をはかる人が多いこともあって、競争が激化している。TRADOSに代表される翻訳支援ツールの適用が進んでおり、生産性(能率)は非常に高いが、レート(単価)は下落傾向にある。かつて10〜15円/wordが普通だった単価は一桁台まで下がり、同じ仕事量でも収入が目減りしてしまうのが現状。ソフトウェア・ローカライズでは、高コストの日本人翻訳者が敬遠され、日本語ネイティブではないにもかかわらず、価格競争力のある海外翻訳者に仕事が回るケースもあるという。
IT翻訳でも、特にローカライズ翻訳の従事者年齢層は、ソフトウェア業界に似ていて、20代から30代の若い世代が多い。若い人の方が新しい知識の習得力に優れていること、いざとなると体力勝負の仕事になりがちであること、本来的に低コスト志向の仕事であることなどが理由としてあげられる。35才を過ぎて一からローカライズ翻訳者を志すのは無謀かもしれない。
将来性★☆
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参考記事
一般技術翻訳
機械、電気、電子、自動車などIT以外の技術分野。大ざっぱな分け方になるのは、個別分野での需要が少ないため。必然的に翻訳者も守備範囲を広くせざるを得ない。扱う文献は、マニュアル(取扱説明書・作業指示書)や技術仕様書が代表的。一昔前は品質管理に関する文献の仕事がけっこう出回った。翻訳需要は日本の輸出産業の景気と連動していて、比較的小規模な企業がクライアント場合は、和文英訳の依頼が多い。
原子力・エネルギー・環境技術などのニッチな分野を狙うのもいいだろう。
将来性★★
メディカル・バイオ(医薬)翻訳
医学、薬学、歯学、バイオ、農学、食品などが対象となる。特徴は景気動向に需要が左右されず、仕事量が安定していること。基礎医学の分野は高度な専門知識が要求されるため、薬学や生化学や生物学を専門的に学んだ経歴を持つ翻訳者が多い。素人が参入しにくいと思われることの多いジャンルだが、臨床の分野は比較的習得が容易だといわれ、独学で実務レベルの知識を身につける人も確かにいる。
治験翻訳(臨床試験関連の翻訳)や医療機器が代表的。仕事を通して世界最先端の医学情報に触れられることが魅力のひとつ。医学翻訳・メディカル翻訳という呼び方もある。
遺伝子工学などのバイオテクノロジー、医学・薬学、微生物学、生化学などを総称して生命科学(ライフサイエンス)ということもある。
将来性★★★
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参考記事
特許翻訳
世界的に知的財産権に対する関心が高まるなかで、日本国内外で特許の出願件数が増加している。翻訳に関しては、特に海外向けの和文英訳の需要が急増しているため優秀な翻訳者が不足気味だといわれている。
特許明細書や特許広報、中間処理で発生する各種書類、特許訴訟関連文書に翻訳需要がある。技術的に高度な内容(電子・電気・機械などの工業分野や医薬品・バイオテクノロジーが代表的)になることが多い上に、特許独特の文体や規則をマスターする必要があるが、翻訳単価は高い。理系・文系の別なく参入しやすいのが魅力である。長期的に根強い需要が見込まれている注目のジャンル。ただし、国や国際社会の制度に多く依存するため、制度が変わってしまうと需要が激減するというリスクもある。
将来性★★★
法律、契約書、ビジネス、金融、証券、政治経済
将来性
絶対的な需要は少ないものの、高度な専門知識が要求される分野では優秀な翻訳者が不足しているといわれる。契約書、法務関係文書、マーケティング、経済記事など。
将来性★
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参考記事
公的文書・各種証明書
大半の産業翻訳分野では、企業・官公庁などの団体組織がクライアントであるが、戸籍謄本、結婚証明書、卒業証明書、在学証明書、診断書、履歴書、手紙など、個人が依頼者の場合もある。一定の需要はあるが、1件あたりのボリュームが小さいため、ビジネスとしてのうまみは少ない。翻訳証明が必要になることもある。一般的な内容の文献は誰でも訳せるのでビジネスとして成立しにくいのが現状。
将来性★