産業翻訳者になる方法は色々考えられ、特に定石のようなものはない。ほとんど準備らしいことはしていないのに、いきなり第一線で活躍している人もいる。それでも、実社会経験で身につけた知識が必要になることが多いので、大学を卒業してすぐにフリーの翻訳者になろうというのは無謀だ。
一番確実で失敗がないのは、一般企業の翻訳部門や翻訳会社に勤務して、現場で実務経験を積むことだろう。翻訳業界のしくみを学べるし、人脈もできる。自信がついたら、頃合いを見計らって独立すればい。
直接、翻訳に関係のないセクション、たとえば海外業務、貿易事務などの職場での経験も有効だ。業務で得られる専門知識や、ビジネス社会のルール、異文化への理解などが様々な面で翻訳に役立つからだ。
技術職に就いていて語学に堪能な人なら、翻訳者としても即戦力として期待される。特許を扱う特許事務所に勤務して特許翻訳者を目指すのも手堅い方法だろう。需要が多いので、比較的短い準備期間でプロとしてやっていけるようになる人が多いようだ。
単価が下落してしまった現状では、フリーランス(個人事業主)が翻訳会社等に登録し、下請けで仕事を請けているだけでは限界があって、収入を伸ばしていくのは難しい。
たとえば、法人格(有限、株式など)を取得して、翻訳エージェント兼翻訳者として営業する方法がある。ソースクライアントとの直接取引(中抜き)を増やしていけば、中間マージンのない有利な条件で仕事を請けられる。この場合、仕事を常時大目に確保しておいて、自分の仕事がない期間を極力なくし、自分で処理できないオーバーフロー分を外注に回すという手も使える。